単行本

岸政彦・柴崎友香の初共著エッセイ『大阪』より「はじめに」を特別公開

 「文藝」連載時より反響を読んだ、岸政彦さんと柴崎友香さんによる初共著エッセイ『大阪』。大学生のときに大阪に住みはじめて現在に至る岸さんと、20代後半で生まれ育った大阪を出て東京に住み始めた柴崎さん。おふたりの「大阪」への交差する視点は、世間一般で言われがちな「コテコテ」「たこ焼き」「アク

『灰の劇場』特別書評 武田砂鉄│日常と絶望は近い 

 2021年2月15日、恩田陸さんの最新小説『灰の劇場』とKAWADEムック『文藝別冊 恩田陸 白の劇場』を同時刊行いたします。並べてみるとまるで双子のようなこの2冊は、合わせて読んでも飾っても楽しめる作品となっております。嫌でも人の「死」を意識せざるを得ない日々。しかし、私たちが視界に入

『灰の劇場』特別書評 小島慶子│想像の中では誰もが等しく肉体を持たない生者である

 2021年2月15日、恩田陸さんの最新小説『灰の劇場』とKAWADEムック『文藝別冊 恩田陸 白の劇場』を同時刊行いたします。並べてみるとまるで双子のようなこの2冊は、合わせて読んでも飾っても楽しめる作品となっております。誰かの死が、毎日のように「数字」となって報道される今日。昨今のパン

特別対談「桐野夏生×恩田陸 三面記事から物語がはじまる」──「文藝別冊 恩田陸 白の劇場」より一部公開!

この度刊行した恩田陸最新長編『灰の劇場』と同時発売のKAWADEムック「文藝別冊 恩田陸 白の劇場」から、人気作家二人の特別対談「桐野夏生×恩田陸 三面記事から物語がはじまる」を一部転載します。良いタイトルとは何か、「物語」はどのようなきっかけで作り始められるのか、お二人の小説執筆の裏側を垣間見るこ

宇佐見りん『推し、燃ゆ』論 成熟と喪失、あるいは背骨と綿棒について

 宇佐見りん『推し、燃ゆ』論成熟と喪失、あるいは背骨と綿棒について水上文  かつて中島梓は『コミュニケーション不全症候群』の中でオタクに向けて言っていた。 ネバーランドから出るべきだと。私たちはピーターパンではないのだと。 もちろん、私たちはピーターパンではない。 そんなことは知っている。

推しがいるということ 宇佐見りん『推し、燃ゆ』について

 推しがいるということ宇佐見りん『推し、燃ゆ』について山本貴光 「推しが燃えた。ファンを殴ったらしい。」 SNSを日常的に使っている人なら、この二文だけで、すでにさまざまな思いや記憶が脳裡を去来するに違いない。なんならしばらく、この先を読まずに想像で楽しめるかもしれない。これは、

『かか』『推し、燃ゆ』は実質『範馬刃牙』であり、私は本部以蔵だった

 「『かか』『推し、燃ゆ』は実質『範馬刃牙はんまばき』であり、私は本部以蔵もとべいぞうだった」金田淳子 ◎親子ほど年の離れたオタク仲間 私は今年で四七歳になる。二一歳の気鋭の新人である宇佐見りん氏の親ぐらいの年齢だ。ということは、『かか』『推し、燃ゆ』に登場する、十代の主人公たち

37年ぶりに同窓会で再会し惹かれあう、かつての恋人たち。文藝賞作家が還暦の恋を描く長編『あなたがはいというから』。

「物語」を問い続けること――谷川直子著『あなたがはいというから』北村浩子 一流ホテルや劇場に足を運ぶ日常をFacebookに投稿し、フラワーショップから定期的に届く花で広い部屋を飾る。父の病院を継いでくれた婿養子の夫は優秀な脳外科医、ひとり息子の優斗はレジデント。何不自由なく優雅に暮らす還暦間近の柊

「笑いに潜む暴力性」「有害な男らしさ」「感情の言語化」をキーに読み解く芸人青春小説『おもろい以外いらんねん』

「笑いに潜む暴力性」に真摯に対峙する――大前粟生著『おもろい以外いらんねん』太田啓子 本作の主要な登場人物は滝場、ユウキと語り手の俺こと咲太。同級生だった3人の高校時代から始まる。それから10年経ち、お笑い養成所を卒業した滝場とユウキが結成したお笑いコンビ「馬場リッチバルコニー」が解散するまでを描い

気鋭の批評家が読む、近代日本哲学の「真の起源」へと迫る傑作『熊楠 生命と霊性』

近代日本哲学の「真の起源」へ ――安藤礼二著『熊楠 生命と霊性』 小田原のどか 言葉とは使い、使われるもの、人の道具である。とはいえ、その使用方法は様々だ。この書評はウェブ転載もされるということなので、読者がどのような環境で、メディアで、これを読んでいるかはわからない。いずれにしても、インターネット

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