単行本 - 14歳の世渡り術

「絶対に学校を休んではいけない」と本気で思っていた――『学校、行かなきゃいけないの? これからの不登校ガイド』はじめに - 4ページ目

学校に行かなくても、選択肢が減らない社会って?

 さて、たまに人は聞く。
 「10代に戻りたい?」と。
 断言するが、私は絶対に戻りたくない。

 汗と涙と鼻水と、その他いろんな体液が「つゆだく」の季節。自分が何を求めているのかもわからず、友人関係が異様なほどに大切で、その友人と誤差程度のことでマウンティングし合い、空気を読むことばかりを強いられ、それだけでなく「将来」なんてものを人質にされながら重大な決断を次々と迫られ、親も教師もうるさいし金はないし恋愛なんかの圧もあるし。

 その上、学校は成績だけでなく、協調性や積極性なんてものまで求め、しかし一方では「余計なことは考えずにルールに従う生徒」に甘いというダブルスタンダードが標準設定だ。

 文部科学省の2019年度の調査によると、現在、不登校の小・中学生は全国で18万人超。少子化で子どもの数は減っているというのに、その数は増え続けている。

 一方、注目したい数字がある。それは2020年9月にユニセフが公表した、先進・新興国38カ国の子どもの「幸福度」を調査した報告書。

 それによると、日本の子どもは「身体的健康」では1位だったにも関わらず、生活満足度の低さ、自殺率の高さから「精神的な幸福度」が37位と最低レベルだったという。その背景には、学校のいじめなどがあると指摘されている。

 さて、本書では、学校から遠ざかった人々、学校のあり方に疑問を持ってそれぞれ独自の取り組みを始めた人々に話を聞いた。

「学校、行かなきゃいけないの?」

 今、そんなふうに悩んでいる人に、この本が届いてほしい。

 学校は、行かなくてもいい時代になりつつあるし、コロナ禍によってより具体的にオンライン学習など「学校に行かない学び」への門戸は開かれた。

 また、冒頭で私は「今、私はあの頃の自分に『すぐに逃げろ!』と言いたい」と書いているが、すでに不登校には「逃げ」というイメージもなくなりつつある。

 もちろん、学校が楽しい人は行けばいい。しかし、学校に行かないことであらゆる扉が閉ざされてしまうような「学校中心」の社会は、見直されるべきだと私は思う。学校に行かなくても、選択肢が減らない社会。今、目指すべきはそっちじゃないだろうか。

 本書には、多くの選択肢と先人たちの実践が詰まっている。

 この本があなたのお役に立てたら、これほど嬉しいことはない。

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著者

雨宮処凛

75年生まれ。作家・活動家。2000年、自伝的エッセイ『生き地獄天国』でデビュー。以降、プレカリアート問題を中心に執筆。『右翼と左翼はどうちがう?』『14歳からの戦争のリアル』等、著書多数。

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