文藝2018年春号・書評 地下鉄サリンから23年──逆さに吊るされた女 田口ランディ『逆さに吊るされた男』書評 レビュアー:吉村萬壱 逆さに吊るされた女 本作は「私小説」と銘打たれている。地下鉄サリン事件の確定死刑囚Yとの十年を超える交流は、作者である田口ランディに、安全地帯にいて客観的なノンフィクションを書くことも、事実を離れた心地よいフィクションを書くことも許さなかった。それは彼女が田口ランディだったからと言うほかな 2018.03.20