文藝2018年春号・書評 「植本さん」植本一子『降伏の記録』書評 レビュアー:戌井昭人 自分は、家族や自身をどこまで晒すことができるのか? 植本さんの本を読むといつも考えてしまう。洋式便所に溜まっている水を泡立たせながら小便をするのが密かな楽しみだったり、父親が一度蒸発したことがあるのだが、どこまで晒せるのだろう。父の蒸発は、拙著で小説にしたけれど、あくまで小説なので、そのまま書いてい 2018.03.22