お知らせ - 短歌
アルバムに去年の夏を見ておりぬこの赤ん坊はもうどこにもいない──子育て世代を中心に育児短歌がバズりまくり! 俵万智の第4歌集は妊娠・出産・子育て、そして恋がテーマ。
俵万智
2026.09.28
第1歌集『サラダ記念日』で‶与謝野晶子以来の革命的情熱歌人”とうたわれた俵万智さん。
近年は「子育てと短歌は相性がいい」と語り、子育て世代からも熱狂的な支持を集めています。
家事育児特化型バラエティ『夫が寝たあとに』に出演した際には、「子育て中に長い文章は書けないですよね。短い言葉(5・7・5・7・7)だったら、隙間の時間でできますから」と語りました。
「アルバムに去年の夏を見ておりぬこの赤ん坊はもうどこにもいない」
たった1年で「もうどこにもいない」と思うほど、子どもの成長はあっという間。写真では残せない感情ごと思い出せる、記録としての短歌づくりは、子育て中の方にもおすすめです。
そんな俵さんが、妊娠・出産・子育てをしていた30代半ばから40代はじめの歌を収めた歌集が『プーさんの鼻』です。
そのときでなければ掴めなかった育児の気づきや驚き、感動が、まるで真空パックされているかのように生き生きとうたわれています。俵さん自身、「育児と短歌は、とても相性がいいということを、身をもって実感した」と本書に記しています(「河出書房新社版に寄せて」より)。

河出書房新社 創業140周年企画として、今年、河出文庫では俵さんの第1歌集『サラダ記念日』、第2歌集『かぜのてのひら』、第3歌集『チョコレート革命』の3冊を新組・新装して刊行。さらに今回、第4歌集『プーさんの鼻』も河出文庫に入りました。
カバーは酒井駒子さんの美しい装画
秋はもういい匂いだよ早く出ておいでよ八つ手の花も咲いたよ
バンザイの姿勢で眠りいる吾子よ そうだバンザイ生まれてバンザイ
生きるとは手をのばすこと幼子(おさなご)の指がプーさんの鼻をつかめり
眠り泣き飲み吐く吾子とマンションの五階に漂流するごとき日々
年末の銀座を行けばもとはみな赤ちゃんだった人たちの群れ
みかん一つに言葉こんなにあふれおり かわ・たね・あまい・しる・いいにおい
たんぽぽの綿毛を吹いて見せてやるいつかおまえも飛んでゆくから
アボカドの固さをそっと確かめるように抱きしめられるキッチン
辛(から)い顔すっぱい顔が見たかったトム・ヤム・クンのクンはエビだよ
まっすぐに怒るあなたを背中から毛布をかけるように愛した
『プーさんの鼻』本文より
アルバムに去年の夏を見ておりぬこの赤ん坊はもうどこにもいない
(河出書房新社版 単行本あとがきより)
344首の‶いのちの歌”は、新しい命と向かい合う‶育児短歌”として、今も多くの共感を呼び、またせつない恋のうたも注目を集めています。
本作は、現代短歌の優れた歌集に贈られる、第11回若山牧水賞を受賞しました。

河出文庫の『プーさんの鼻』は、初刊(文春文庫)の穂村弘さんの解説を再録した上に、山崎ナオコーラさんの新たな解説を加えた、充実のダブル解説!
来年2027年は、『サラダ記念日』刊行40周年を迎える記念すべき年です。
現在さまざまな企画を準備中です。どうぞご期待ください。
俵 万智 Machi Tawara
写真 上村明彦1962年、大阪府生まれ。1985年、早稲田大学第一文学部卒業。
大学在学中に作歌を始め、1986年、「八月の朝」50首で第32回角川短歌賞受賞。1987年、第1歌集『サラダ記念日』を刊行、翌年同歌集で第32回現代歌人協会賞受賞。他の歌集に『かぜのてのひら』『チョコレート革命』『プーさんの鼻』(第11回若山牧水賞)『オレがマリオ』など。評論に『愛する源氏物語』(第14回紫式部文学賞)『牧水の恋』(第29回宮日出版文化賞特別大賞)など。
2021年、第6歌集『未来のサイズ』で迢空賞受賞。
2021年度朝日賞受賞。23年紫綬褒章受章。
https://twitter.com/tawara_machi
●新刊情報

書名:プーさんの鼻(河出文庫)
著者:俵万智
文庫版解説:穂村弘/山崎ナオコーラ
仕様:文庫版/176ページ
発売⽇:2026年9⽉8日
定価:792円(本体720円)
ISBN:978-4-309-42284-8
装丁:佐々木暁
装画:酒井駒子
https://www.kawade.co.jp/np/isbn/9784309422848/
















