ためし読み - 育児
児童精神科医・佐々木正美が「そんな子がいたらちょっと心配」という子の特徴とは?
佐々木正美
2026.03.20
お母さん、お父さん。 どうぞ子どもを甘やかすことを決して恐れず厭わず、一生懸命にかわいがって育ててあげてください。いい子にしているときにかわいがるのではなく、どんなときにも愛してあげてください。 子どもは愛されることで、いい子になるのです。
この言葉を遺したのは、2017年に惜しまれつつこの世を去った児童精神科医・佐々木正美さん。遺著『子どもの心の育て方』は累計10万部。没後も毎年のように版を重ねているベストセラーです。
佐々木さんの本はいずれも、具体的なノウハウではなく、親の心の持ちようを説き、悩める親世代の支えとなり続けています。
昨年もTBS「THE TIME」にて堺雅人さんが佐々木さんの本を愛読していると紹介し、話題となりました。

『子どもの心の育てかた』
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佐々木正美さんは1935年、群馬県前橋市生まれ。高校卒業後、信用金庫に6年間務めた後、一念発起で医学部進学、精神科医となり、児童精神科医として活躍。『子どもへのまなざし』全3巻(福音館書店)は子育てに悩む親たちから絶大な支持を受け、累計80万部のロングセラーとなりました。また自閉症の療育プログラムを米国から導入して、発達障害に対する理解を広める働きに尽力したこともよく知られています。
『子どもの心の育て方』は亡くなる1年ほど前に出版された本。名著『子どもへのまなざし』の大事なエッセンスを、現代の忙しい親にも読みやすく凝縮した本です。子育ての軸となる普遍的な教えが凝縮されています。
本書から「長所をできるだけたくさん指摘してあげてください。短所や欠点はそのあとからほんのちょっぴりだけでいいのです。」を全文公開いたします。
子育てに悩んだとき、子どもへの接し方に迷ったとき、お守りとなってくれるような言葉たちです。
長所をできるだけたくさん指摘してあげてください。
短所や欠点はそのあとから
ほんのちょっぴりだけでいいのです。

どんな人間にも長所と短所があります。家庭では親が、学校では先生が、子どもの短所を直して長所を伸ばしてやりたい、と考えるわけですが、どうしても欠点ばかりを指摘してしまいます。子どもというのはまず最初に長所をたくさん指摘され、それから短所をちょっぴり指摘されると、短所や欠点に対する取り組みがとてもよくなります。よくないところは直そうとする。というのは、たくさん長所を指摘されてきた子どもは、自分に自信があるからです。自信がないと短所を直すということは、なかなかできないのです。
だから、子どもたちにはまず、いつもできるだけたくさんの長所を指摘してあげてほしいと思います。短所は少しだけでいい。
長所を「あたりまえのこと」として見過ごし、欠点ばかり探して一生懸命それを修正しようとする教育は間違っています。私たち大人はうっかりすると短所のほうばかりに敏感になり、少しでも悪いところをみつけると直そうとしてしまいます。子どもの希望をかなえてやることよりも、親や教師の希望にそったことばかりに気持ちをとらわれてしまう。大人はまずこれを逆転させなくてはいけません。
そのために知っておかなくてはならないことは、長所は常に短所の裏返しで、短所は長所の裏返しだということです。
学校で忘れ物をけっしてしないというのは、親から見ても先生から見ても長所でしょう。たしかに忘れ物の少ない子は、注意深く用心深いという長所を持っているといえますが、神経質で臆病で、強い不安感という短所をあわせもっているともいえます。
ほどほどに忘れ物がある、というのが一番いいのです。
また子どもはおもちゃをちらかすのが普通ですが、まれに持ちだしたおもちゃを親に言われるままきちんと片付け、それからつぎのおもちゃを出すという子がいます。いつもきれいに片付いているのだから長所だと思われるかもしれませんが、そんな子がいたら私はちょっと心配です。子どもの遊びというのはいったん中断して片付けをし、気持ちを切り替えてからつぎのおもちゃにとりかかる、なんていうことができないほど勢いのあるものだからです。やりたいときはわーっとやって、へとへとになるまで遊び、終わったらくたびれて片付ける元気なんかない、というのが健康な状態です。ちらかし放題の子は親から見たら短所だけど、うんと元気で集中して遊べるというたいへんな長所を持っているのです。もちろん年齢や程度の問題はあるかもしれませんが、小さいころから片付けが上手な子は、遊びへの活力、意欲が乏しいともいえますから、私はとても心配になるのです。
親は短所ばかりを探さないで、長所をたくさん指摘してあげてほしい。けれど、常に長所短所は両面であることを忘れないでください。長所というのは、親や先生にとって都合がいいことにすぎないということもあります。親が「この部分は、この子にとって大きな長所だ」と思っていると、それがときにはとんでもない短所である、ということもないわけではないのです。
==全編は『子どもの心の育てかた』でお読みください。==













