【待望の初単著】歌と言葉でひとびとを鼓舞する新時代のDIVA・ゆっきゅん『孤独はかけがえないディスコ』ためし読み無料公開!
2026.10.09

ゆっきゅん
こんな時間まで横になってたけど、好きな自分で生きていく――。
歌と言葉でひとびとを鼓舞する新時代のDIVA・ゆっきゅん。
待望の初単著エッセイ『孤独はかけがえないディスコ』がついに発売!
本書で綴られるのは、私だけの孤独、選べる自由、DIVAとは何か、愛すべきJ‐POP、感動作詞術、故郷の岡山、上京物語、東京の時間、大切な友達、家族の記憶、数々の旅行記、好きなファッション、ゆっきゅんが日々の中でふと大切に思ったさまざまな瞬間たち……。
うまくいかない朝も、天井見てるだけの昼も、笑いすぎた友達との夜も、そのユーモラスな視点と切実な感情によって、ひとつも取りこぼさないようにして、言葉にする――
ゆっきゅんならではのまなざしに満ちた言葉が、読者のありのままを肯定してくれます。
本書は「ユリイカ」「群像」など各誌寄稿の厳選エッセイにくわえて、初めて明かされる書き下ろしを多数収録!
初回特典として、キラキラスペシャルステッカーを封入します。
発売を記念して、『孤独はかけがえないディスコ』本文の一部を無料公開いたします!
この機会にぜひお読みください。

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友達と、これから出会う友達に捧げる
私は君の友達です。まだお前のことなんか知らない、と言うのならば、これから出会って友達になります。ずっと昔から仲が良かったみたいに。学生の頃、何度もコンビニとファミレスとカラオケに行ったみたいに。誰にも言えなかった孤独を、変なタイミングで打ち明け合って、なんか笑えてきた深夜2時半みたいに。そうやって、ほっといても話し続けるおしゃべりな友達の長話を聞くつもりで、この本を開いてはくれないだろうか。あるいは、この本ごと友達のように思ってくれるならば、それ以上はない。
友達の名前はゆっきゅん。DIVAで、作詞家で、随筆家で、J‐POPと映画とガーリーカルチャーを愛している。一冊目の著書であるこの本は、2018年から2026年、23歳から31歳になるまでの、さまざまな媒体に書いて散らばっていたエッセイを選び、書き下ろしを加えてまとめたものです。映画やDIVAについての批評的な文章は外して、今の自分なら書かないような若い文章はしっかりと残しました。人生の中で感じたこと、考えたこと、ひとりぼっちの自由な心、岡山と東京で出会えたひと、忘れたくない景色、歌と詞とDIVAの決意が詰まった、ソロで二回目のファーストアルバムになりました。
孤独はかけがえないディスコ。私は私のまま踊れる。ここは楽しい悲しい恥ずかしい誇らしいダンスフロア。君を見逃さないようにミラーボールはゆっくり回る。君が君でいるまま踊れる。朝まで踊れば幼なじみになりそう。……踊るような心の道のりを、好きなページから読んでみてください。一冊で自伝とするには断片的で、時系列でもないし、生きてきたすべてでもないです。それでも私の友達の作り方は自己開示から始まるものだから、ここに書きたかったことはすべて書きました。ねえ、この本を読んで誰かを思い出したら、その人にぜったい連絡して。
ゆっきゅん
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Ⅰ どうでもいい道を堂々と歩く 孤独と自由
傷だらけじゃなくてもいいじゃん
いつだって期待されるのは苦悩だった。普通に生きているだけではこうなるわけがないから。規範から逸脱した身なりをして、社会的な抑圧から解放されて自由に自分を表現していると見える、私のような人間は、メディア映えする波瀾万丈な物語を背負わされかけがちだ。アイデンティティに悩んだ時期や、「好きなものを好きでいること」ができなかった過去があり、何かひとつのドラマティックで忘れられない出来事や助言がきっかけとなり、自信のない自分を乗り越えて、現在のキラキラピンクの自己肯定感爆上げDIVA道を歩み始めることができた、みたいなわかりやすくてありがたい物語。友達のいない引きこもりが自分を変えたくてアイドルになったらたしかに劇的だけど、私は別にそうじゃなかった。噓をつけないのでいつも困惑した。私は昔からずっとこうだったから。
人は、他人の人生を物語にして納得したがる。この輝いている姿にはきっと、闇のティーンエイジが存在するに違いないと思われる。苦労話がないと面白くないわけではなくて、紆余曲折を説明されないと聞き手として納得できないのが本当の理由だろう。女性の犯罪者に情念系の動機が求められるのと同じだ。自分が納得するための言葉を聞きたいだけで、本当のことが聞きたいわけではない。
かつて、質問案の下に私の回答案まで用意されているインタビューを受けたことがあった。勘弁してくれ。じゃあもう話を聞く必要はないだろう。聞きたい答えを待たれるだけの、心のない時間を過ごしたくない。他人と他人の在り方として間違っている。誰かの期待に応えるのは嫌いじゃないから自分は演者には向いていると思うけど、曲がりなりにも言葉を扱う仕事をしている私に、本音らしき発言を他人が用意しているとは、何事? と落胆した。
他人にわかりやすくするために人生を生きている暇など、一瞬たりともない。私は私のためだけに生きている利己的な個人主義者だと言いたいわけでもない。他人の気持ちだって考えてるし伝わってくるし気にしている。でも、私の人生は私のものだから、知らない人にわかりやすく理解してもらうために生きてはいられない。誰に何を思われても構わないけど、その分私だって誰にでも何とでも思っていいだろう。
たしかに乗り越えや這い上がりを経験した人の言葉には説得力が宿るし、ネガティブな発言は脚光を浴びる。そして芸術は傷ついた人のためにあるべきで、素晴らしくない気持ちのために存在していて、人生の最悪な部分を肯定するためにたくさんの作品があるのだとも思う。私だってそのおかげで歩いて来られた。傷だらけでもいいじゃんってたくさんの音楽が教えてくれるし、弱者や少数派の発言が見逃されない社会を望んでいる。でも、だからこそ、遠慮で何も言えなくなった人に、傷だらけじゃなくてもいいじゃんって、言ってやりたい。
傷だらけじゃなくてもいいじゃん。
実家が東京でもいいじゃん。
病んでなくてもいいじゃん。
どん底を知らなくてもいいじゃん。
家族と仲良くてもいいじゃん。
友達がいてもいいじゃん。
指定校推薦でもいいじゃん。
いい大学を出ててもいいじゃん。
愛されててもいいじゃん。
自慢でもなく卑下でもなく言わなくてもよく。傷だらけじゃない人は、そのままの自分を受け入れなければ仕方がない。そもそも自己肯定感って言葉が2020年代前半にやたらと取り沙汰されて、その意味は本来在ろうとした場所から離れていったように思う。できるだけ歪みなくそのままの自分を認識し、それが私であると認めて受け入れることが自己を肯定するということ。だけど「自分最高!」みたいな意味で使われすぎて、大なり小なり、心理的に無理を強いる言葉になってしまった。自分が最高でも最悪でも好きでも嫌いでもいいし、そんな極端な状態が持続するわけもない。今日は満足していても明日は自分という存在に疲れ果てるし、少し好きになったり部分的に嫌いになったり何も思わなかったり、自信がついたり失ったり自信がなくても行動するしかなかったりしている。あれもこれも含めて自分なのだと受け入れたり、受け入れない自分を認めたりするのが、肯定ってことだろう。無理して誰かのようにならなくていい。あの人のようにがんばれなくてもいい。誰かに表明した自分、その一つの像に囚われる必要はない。裏表の二面性(これ大嫌い)で表せるほど人間は単純じゃない。
人は、誰かについて、自分が知らなかった部分を他人から知らされると、その部分を「本当の」その人だと思い込んでしまう。今まで言ってこなかった内容や、隠してきた事実が、それまでに知っていたものよりも本当らしく映ってしまうことがある。あの人、裏ではこう言ってるらしいよと知らされて、自分といたときのその人が噓をついていたように感じてしまう。スターのインタビューで初めて明かされた苦しみを「リアル」な「本音」として受け取り、今までは無理していたんだなと振り返る。週刊誌やSNSで好きなアイドルのプライベートが暴露されたとき、裏切られたように感じてしまう。そんなわけないのに、と思う。今まで見てきた面だって、噓(だけ)ではなかったはずなのに。本当のことは自分の知らない裏側にだけ存在しているなんて、どうかそんなさみしいことを思い込まないで、これまでの自分が見てきたものも大切にしてほしい。
ふとしたときに出た言葉が本音ってわけじゃない。咄嗟の場面やピンチのとき、急な対応を求められる瞬間について「そういうときに真の姿が出るよね」と言いたがる人がいるが、うるさい。何日も考えて下書きして清書してアドリブもなく大切に読み上げた、アイドルのアンコールのMCだって本当の言葉じゃないか。楽屋の会話が本当とは限らない。ステージ上の夢を真実にするのが演者の仕事だ。ていうか楽屋の会話なんて、上下関係やスタッフに気を遣いまくって、適当に相槌を打ったり同意したりしていることもあるだろうし。本当のことはきっと、自分の中と目の前にあるはずなのだ。
スキャンダラスでリアルらしきものに負けるな。
自分の中の本当をその手で守り続けろ。
書き下ろし
*** 続きは『孤独はかけがえないディスコ』でお楽しみください!***

ゆっきゅん
【目次】
友達と、これから出会う友達に捧げる 2
Ⅰ どうでもいい道を堂々と歩く 孤独と自由 9
傷だらけじゃなくてもいいじゃん 11
どうしようもないコンビニ 16
さみしくない 18
誰も見てないものを誰にも言わずに見てる 21
J-POPコンプレックスの彼方へ 23
大人の自由なノート術 27
私は満員電車を作らない 30
いつか高木美保のように 33
Ⅱ 私は私のまま踊れるわ がんばりたい 35
あたし、自力レイラ 37
生まれ変わらずゆっくりよくなる 39
卒論の季節、元卒論の季節 42
本当につらいは本当につらい 47
あたしのまま働くんだ! 51
もうちょっとがんばろ 55
Ⅲ DIVA ME、DIVA YOU 歌と詞と 57
DIVA ME、DIVA YOU(RIKACOがいた) 59
ステージの上から見えているもの 64
年一のころ 68
ログアウト・ボーナス・レコーディング・ダイアリー 72
あのときの絶対 77
DIVAの感動作詞法 80
Ⅳ 思い出以外の話が出来るかな 故郷と私 95
Y2Kとは姉である 97
我がカラオケ人生に悔いなし 100
ばらに見惚れた男の子 105
ティーン、打ちのめされとこ 109
先輩先輩先輩先輩先輩先輩先輩先輩先輩先輩先輩先輩先輩先輩先輩 112
岡山で私を育ててくれたもの 115
Ⅴ 東京だから大丈夫だ TOKYO 123
私の面白くてつまんない上京 125
4本目のSHIBUYA TSUTAYA 130
管理室のアイドル 133
パシオン・アカサカという幻 136
忘れても大切にするということはできるのかな 139
Ⅵ つまんなかったよ 君と会うまで 友達たち 141
M 143
焼きそばを食べたことがある人 152
年内に会いたかった 158
愛のある場所 162
人生で一番悲しかったこと 166
Ⅶ 駅も道も信号も足りない チェーン店と旅情 169
私にヴァカンスは難しい(まだ) 171
京都へ行くつもりじゃなかった 177
夏の終わりのエセ熱海 183
あけましてビジネスホテル 188
この人は私のお父さん 194









