「文藝」2015年秋号・書評 僕はかつてこのような小説を書いてみたかったのだ。『アメリカ大陸のナチ文学』 【評者】中原昌也 架空の事象について、ああでもないこうでもないと考えて過ごすのは、楽しい……ありもしないことについて、できるだけ、もっともらしく心がけて書くのも楽し い。ロベルト・ボラーニョの『アメリカ大陸のナチ文学』は、小説の根源的な面白さである、いい年した大人がデタラメを真剣に捏ねくり廻すという、まともな 人間で 2015.10.05