「文藝」2015年冬号・書評 保坂さんの文章は読む者の記憶を呼び覚ます働きがある。『遠い触覚』 保坂和志 【評者】種田陽平 『遠い触覚』保坂和志『遠い触覚』保坂和志著【評者】種田陽平 ──言葉による長回し──映画には長回し撮影というものがある。短いカットの積み重ねには、作り手の意図を確実に反映させることができる。しかし、長回し撮影においては、どんなに計算してとりかかっても、撮影時の演技の流れやカメラワーク、タイ 2015.12.15