「文藝」2016年冬号・書評 言葉の淵に映るもの『少年聖女』 鹿島田真希 『少年聖女』 河出書房新社鹿島田真希 著 【評者】倉本さおり言葉の淵に映るもの なにかを「読む」、つまり与えられた言葉を解するとは本来、ひとりきりで昏い淵を覗きこむような行為だ。水面に映るそれはけっきょく、輪郭をあいまいにさせた自分自身の姿にほかならない。「わかった」と思って飛び 2016.11.17