異例の快挙達成! 川本直がデビュー小説『ジュリアン・バトラーの真実の生涯』で読売文学賞を受賞!

2022年2月1日、第73回読売文学賞(主催:読売新聞社)が発表され、小説賞を川本直(かわもと・なお)著『ジュリアン・バトラーの真実の生涯』が受賞いたしました。かつては三島由紀夫氏、村上春樹氏、小川洋子氏らが受賞。2年ぶりとなる小説賞は、川本直氏が10年の執筆期間を経て完成させた初小説です。初小説での本賞受賞という異例の快挙となりました。

 

選考委員の若島正氏は選評において、本作をウンベルト・エーコ『薔薇の名前』、セルバンテス『ドン・キホーテ』といった不朽の世界文学作品にたとえながら「野心的な試み」と評し、「この作品が『翻訳』されて世界中で読まれるようになれば、どんな反響が巻き起こるだろうかと想像せずにはいられない」と讃辞を贈っています。

これまでも多数の紙誌などで本の目利きたちから “傑作” と絶賛されている『ジュリアン・バトラーの真実の生涯』。著者の文学への愛、作家、芸術家たちへの熱い思いに満ちあふれた本作に、是非ご注目ください。
(※若島正氏選評は読売新聞2022年2月1日朝刊からの引用)

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『ジュリアン・バトラーの真実の生涯』とは

作風は優雅にして猥雑、生涯は華麗にしてスキャンダラス。
トルーマン・カポーティ、ゴア・ヴィダル、ノーマン・メイラーと並び称されたアメリカ文学史上に燦然と輝く小説家ジュリアン・バトラー。その生涯は長きにわたって夥しい謎に包まれていた。
しかし、2017年、覆面作家アンソニー・アンダーソンによる回顧録『ジュリアン・バトラーの真実の生涯』が刊行され、遂にその実像が明らかになる——。
大胆不敵に入り乱れる虚実——伝説の作家「ジュリアン・バトラー」を創造することで、「もうひとつの20世紀アメリカ文学史」を描き出した壮大な傑作デビュー長編!

 

『ジュリアン・バトラーの真実の生涯』へ寄せられた推薦文、書評・紹介記事

【推薦文】

米文学の最もスキャンダラスな時代、一際スキャンダラスに生きた恋人たちの生涯を、川本直は微塵の妥協もなく正攻法で描き切る。
——佐藤亜紀氏(小説家)

「川本直は文藝批評家ではなかったのか」。本書を手にする誰もがこう思うに違いない。そう、これは川本直初めての壮大なフィクションであり、読者を言葉だけで作られた迷宮へと誘い込むきわめて面白い小説である。
——高遠弘美氏(フランス文学者)

予想を遥かに上回る大傑作。クィア文学の嚆矢、ジュリアン・バトラーに魅了された。その秘められた真実に打ち震えた! 
——伏見憲明氏(作家)

事実と虚偽が入り乱れるポスト・トゥルース時代のデカダンス小説。その筆力には張りがあり熱い魂をもちポップな感覚のあふれる、異才作家のデヴュー作。こんな大胆な発想と実験性をもつ長編は最近読んだことがない。
——富士川義之氏(英文学者)

嘘の中に真実があり、現実のあいだにフィクションは生まれる。スキャンダルの祝祭たる二十世紀文学史のまっただ中に飛び込み、メディア・スターの幻像を泳ぐジュリアン・バトラーは世界文学を大胆に書きかえるのだ。
——柳下毅一郎氏(映画評論家・翻訳家)

世界文学/日本文学をめくり返す、でんぐり返す快挙! ジュリアン・バトラーの冒険はフィクションの究極、脊髄を走る稲妻。
——辻原登氏(小説家)

フィクションがここまで輝くと、事実の方が色を失う。 大切な飴を舐めるようにしてページを繰った。
——荻野アンナ氏(小説家、仏文学者)

エーコの『薔薇の名前』に比肩するこの野心作が翻訳されて世界中で読まれたら、どんな反響を呼ぶだろうか。
——若島正氏(英米文学者)

1行ごとに巧緻な仕掛けを施し、幻の文学史を現前させる。破格のデビュー小説だ
ーー鴻巣友季子氏(2021.10.27/朝日新聞「文芸時評」より)

完全にやられた。フィクションにしかできない禁断の果実を著者はデビュー作で手にしたのだ。
ーー陣野俊史氏(2021.12.25/日経新聞「回顧2021」より)

読みどころをこれでもかとばかりに備えた、超ド級の傑作。
ーー豊﨑由美氏(2021.12.19/北海道新聞「トヨザキ社長の鮭児書店」より)

 

【書評・紹介記事掲載一覧】(一覧内敬称略、発表順)
毎日新聞「私のおすすめ」(小川公代/2021.9.29夕刊)、週刊読書人「刊行記念対談×島田雅彦」(2021.10.1号)、新潮11月号「書評」(武田将明)、群像11月号「書評」(山﨑修平)、Web河出「書評」(高遠弘美/2021.10.7)、毎日新聞「今週の本棚」(若島正/2021.10.9)、毎日新聞「著者インタビュー」(2021.10.21)、朝日新聞「文芸時評」(鴻巣友季子/2021.10.27)、日本経済新聞「書評」(陣野俊史/2021.10.28)、週刊読書人「書評」(高原英理/2021.10.29号)、WEBマガジンONTOMO「書評」(かげはら史帆/2021.11.1)、産経新聞「産経書房 聞きたい。」(2021.11.7)、東京新聞「著者インタビュー」(2021.11.8夕刊)、サンデー毎日「書評」(川本三郎/2021.11.9号)、朝日新聞「著者に会いたい」(2021.11.13)、日本経済新聞「文化往来」(2021.11.16夕刊)、週刊新潮「書評」(伊藤氏貴/2021.11.18号)、読売新聞「キリンのコラム」(2021.11.21)、本の雑誌1月号「私のベスト3」(白石朗)、毎日新聞「今年の3冊」(若島正/2021.12.11)、北海道新聞「トヨザキ社長の鮭児書店」(豊﨑由美/2021.12.19)(*1)、婦人公論「書評」(豊﨑由美/12.28・1.4合併号)、東京新聞「今年の10冊」(豊﨑由美/2021.12.21)、毎日新聞「この1年 文芸」(山本貴光/2021.12.22夕刊)、共同通信配信「今年の収穫」(木村朗子/2021.12.25)、日本経済新聞「回顧2021」(陣野俊史/2021.12.25)、東京新聞「大波小波」(2021.12.27)、Real Sound「対談×北丸雄二氏」(2022.1.14)etc.
*1 本作が第9回(2021年)鮭児文学賞を受賞したことが掲載された。

[対談]島田雅彦氏×川本直氏(読書人WEB)

[インタビュー]「知られざる異色作家とは」(朝日新聞「著者に会いたい」/好書好日)

[インタビュー]「批評と溶け合う永遠の愛」(産経新聞「聞きたい。」/ブックバン)

[インタビュー]「架空の米作家の生涯描く」(東京新聞「文化」)

 

読売文学賞について 

読売文学賞は戦後の文芸復興の一助とするため、1949年度(昭和24年度)に創設。「小説」、「戯曲・シナリオ」、「評論・伝記」、「詩歌俳句」、「研究・翻訳」、「随筆・紀行」の全6部門において、前年の最も優れた作品が選ばれる国内唯一の総合文学賞です。
これまで小説賞は、第8回(1956年度)『金閣寺』(三島由紀夫)、第14回(1962年度)『砂の女』(安部公房)、第29回(1977年度)『死の棘』(島尾敏雄)、第33回(1981年度)『吉里吉里人』(井上ひさし)、第47回(1995年度)『ねじまき鳥クロニクル』(村上春樹)、第49回(1997年度)『イン・ザ・ミソスープ』(村上龍)、第55回(2003年度)『博士の愛した数式』(小川洋子)といった数々の名作、錚々たる作家たちが受賞しています。また、昨年の第72回は該当作がありませんでした。

・第73回読売文学賞選考委員(50音順)
池澤夏樹(作家)、岩松了(劇作家、演出家、俳優)、荻野アンナ(作家、仏文学者)、川上弘美(作家)、川村湊(文芸評論家)、高橋睦郎(詩人)、辻原登(作家)、松浦寿輝(詩人、作家、批評家)、若島正(英米文学者)、渡辺保(演劇評論家)

 

【書誌情報】

書名:ジュリアン・バトラーの真実の生涯
著者:川本直
仕様:46変型判/仮フランス装/400⾴
発売⽇:2021年9⽉28⽇
定価:2,475円(本体2,250円)
ISBN:978-4-309-02983-2
装画:TANAKA AZUSA
装幀:坂野公一+吉田友美+島﨑肇則(welle design)

 

 

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【著者紹介】
川本直(かわもと・なお)
1980年、東京生まれ。2011年「ゴア・ヴィダル会見記」(「新潮」)を発表しデビュー。文芸評論とノンフィクションを手掛ける。著書に『「男の娘」たち』(河出書房新社)、共編著に『吉田健一ふたたび』(冨山房インターナショナル)がある。本書が初の小説となる。

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