なぜ争いは起きるんだろう? 平和について考えるおすすめ本37冊『from under 30 世界を平和にする第一歩』刊行記念

なぜ争いは起きるんだろう。いま、世界を平和にするためにできることって――?

「14歳の世渡り術」シリーズ最新刊『from under 30 世界を平和にする第一歩』は、作家、発明家、ピアニスト、起業家など30歳以下の19人からのメッセージが詰まったアンソロジーです(寄稿者、目次はこちらから)。

刊行を記念して、本書巻末で紹介しているおすすめの本・全37冊を紹介文とともに公開します。章立てに沿って、14歳の世渡り術編集部が「世界平和」について考える第一歩となるのでは、と思う本をピックアップしました。
「平和ってなんだろう?」とふと考えたとき、道しるべとなる本が一冊でも見つかれば幸いです。

 

Ⅰ       「平和」について考えてみる

【コミック】
Pumpkin Scissors』 1~23
 岩永亮太郎 (講談社)
戦いを描く作品は古今東西たくさんありますが、このコミックのテーマは戦後の「復興」。戦災復興部隊「パンプキン・シザーズ」の活躍を描いています。終戦後にも残る「戦災」というもう一つの戦争を通して、平和な世界への道のりを考えさせられます。

 

【ノンフィクション】
アンネ・フランクの記憶
 小川洋子 (角川文庫)
中学生の時に、『アンネの日記』を読んで書くことに目覚めたという作家の小川洋子さん。日記を読み込んだ著者の目で見るオランダの隠れ家の描写や、生前のアンネを知る人との丁寧な対話から感じるのは、戦争で「一人の人間が死ぬ」ということの計り知れない重さです。

 

【コミック】
風太郎不戦日記』 1~3
 勝田文(漫画) 山田風太郎(原作) (講談社)
昭和の大作家・山田風太郎が太平洋戦争末期に綴った日記のコミカライズ。体調不良により戦地に行くことが叶わない山田青年が記録した、戦時下の日本。平和とはいえない時代にも、日常は続いている――そんな当たり前のことにはっとさせられます。

 

【ノンフィクション】
九月、東京の路上で 1923年関東大震災 ジェノサイドの残響
 加藤直樹 (ころから)
1923年の関東大震災直後、「朝鮮人が井戸に毒を入れた」といった根拠のない噂が広まり、多くの朝鮮人が虐殺された出来事を詳細に解説した一冊。言葉による暴力がさらなる暴力を生む――SNS全盛時代の今との共通項も見えてきます。

 

【教養】
ほとんど憲法 上・下
 木村草太(著) 朝倉世界一(絵) (河出書房新社)「憲法」とは、私たちが自由で平和に暮らすために、その国家で保たれているべき「ルール」ともいえるかもしれません。学校生活でふと感じた疑問や、人間関係でのちょっとした悩みから、憲法の使い方を学べる入門書です。

 

【コミック】
戦争は女の顔をしていない』 1~3(続刊)
 小梅けいと(漫画) スヴェトラーナ・アレクシエーヴィチ(原作) 
 速水螺旋人(監修) (KADOKAWA)
ノーベル文学賞受賞作家の主著のコミカライズ。第二次世界大戦時、積極的に戦いの前線に立ったソ連の女性たち。大きな歴史の中からすくい取られたひとつひとつのエピソードが、戦争の過酷さを突きつけてきます。

 

【日本文学】
ゆっくりおやすみ、樹の下で
 高橋源一郎 (朝日文庫)
鎌倉のおばあちゃんの館で夏休みを過ごすことになった小学5年生のミレイちゃん。そこで、戦時中にタイムスリップし、家族の歴史をたどることに――。「過去がわからない人間に未来はない」と語る著者が、やさしい言葉で描く戦争の話。

 

【日本文学】
銀河英雄伝説』 1~10
 田中芳樹 (創元SF文庫)
日本SF史にその名を刻む傑作。銀河で戦いを続ける人類を描いた壮大な歴史小説であり、政治や思想が異なる者同士の争いを描く「戦争小説」ともいえます。150年(!)も続く戦時下で、登場人物たちが語る「平和」への想いには、フィクションの枠を超えた真実性があります。

 

【ノンフィクション】
日本のいちばん長い日 決定版
 半藤一利 (文春文庫)
日本の終戦記念日である8月15日。映画やドラマなどで、ラジオから流れる昭和天皇の声を国民が聞くシーンを見たことがある人も多いのではないでしょうか。その「玉音放送」が流れるまでの約24時間を多くの証言で再現した、近代日本の“運命の一日”を描いた名作です。

 

【ノンフィクション】
娘に語るお父さんの戦記 小さな天国の話
 水木しげる (河出文庫)
『ゲゲゲの鬼太郎』などの妖怪漫画で知られる水木しげるは、21歳で南方へ出征、戦争の激戦地で片腕を失いました。戦争を知らない子どもたちに向けて、多くのイラストとともに「これだけは伝えなければいけない」と書き残したありのままの戦争の記録です。

 

【詩】
山之口貘詩集
 山之口貘 高良勉(編) (岩波文庫)
沖縄に生まれ、職を転々とする貧乏生活でも書くことを手放さず、風刺精神のなかにユーモアのある詩を書き続けた詩人。‟生死の生をほっぽり出して“と始まる「ねずみ」など、戦時下の命や存在の軽視に向けられた視線は、いまなお鋭く突き刺さります。

 

【グラフィックノベル】
ペルセポリス』 1~2
 マルジャン・サトラピ 園田恵子(訳) (バジリコ)
1980年前後のイランで、革命と戦争を目撃した少女の半生を綴った自伝的作品。子どもの目から見た戦争、身近な人の死、戦火から逃れた先での差別や孤独感……激動の時代を独特なタッチで描いています。著者自ら監督したアニメ映画版もおススメです。

 

【海外コミック】
コバニ・コーリング
 ゼロカルカーレ 栗原俊秀(訳) (花伝社)
イタリアの人気漫画家によるルポコミック。混迷する中東の地、過激派組織・イスラム国(IS)防御の砦となったシリア北部の町で見た戦争の現実とは? シリアスな内容ながら時にユーモラス、戦争を自分事として捉えるためにぜひ読んでほしい一冊です。

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