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長岡花火大会スタート! 必ず最初に上がる真っ白な花火「白菊」の意味は? 伝説の花火師が平和に捧げた生涯

 

Photo by ©︎Yuko Iida

今年も日本三大花火の一つ、長岡まつり大花火大会がスタートします。
毎年8月1日から3日にかけ行われ、2日目、3日目は大花火大会が開催されますが、1日に打ち上げられる花火は「白菊」と呼ばれる、真っ白な花火3発のみ。

この「白菊」は、終戦直前の長岡空襲による犠牲者の慰霊と復興、平和への祈りを込めた長岡花火の代名詞になっています。

この花火を生んだ伝説の花火師・嘉瀬誠次氏の生涯と思いを追ったノンフィクション『鎮魂の花火「白菊」 長岡の花火がつなぐシベリアと真珠湾』が7月28日に刊行されました。

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本書は著者山崎まゆみ氏が、長期にわたる取材によって「白菊」を巡る長岡、シベリア、真珠湾の出来事を描きだしたノンフィクションです。
花火「白菊」を生んだ伝説の花火師が辿ったシベリア抑留の過酷な運命と、その後、世界中で、平和を祈る象徴へと発展していく過程をていねいに追いかけています。

 

おらは、戦後、シベリアに抑留されたんです。
帰ってこられなかった仲間のために、鎮魂の花火を上げたい。

1922 年に長岡の花火師の家に生まれた嘉瀬誠次氏の人生は、戦争によって一変しました。
徴兵され、戦中、そして戦後のシベリア抑留という過酷な経験を強いられ……多くの戦友が命を落とす絶望的な状況の中で、嘉瀬氏はシベリアの現地住民の温かさに触れ、生きる希望を見出します。こうした戦争経験が彼のその後の人生、そして花火師としての哲学に深く影響を与えました。

 

ロス五輪、そしてアムール川へ 国境を越える花火

戦後、日本に帰国した嘉瀬氏は、技術が途絶えていた正三尺玉の復活を遂げるなど偉業を成し遂げ、「伝説の花火師」と呼ばれる存在になってゆきます。
1984 年にはロサンゼルスオリンピックの閉会式で、日本人として初めて花火の打ち上げを担当するという快挙を成し遂げました。
そして1990 年、自身が抑留されたシベリアのアムール川(ロシア・ハバロフスク)で、亡き戦友たちに捧げる特別な花火「白菊」を打ち上げる夢を叶えました。
ペレストロイカによる混乱の中、多くの協力を得て数々の困難を乗り越え、アムール川の夜空に咲いた鎮魂の「白菊」は、現地の人々の心に深く響き、日本とロシアの間に新たな交流の架け橋を築きました。

 

真珠湾へ、そして世界へ:平和への願いを込めて

戦後70 年の節目である2015 年には、「白菊」はハバロフスクから遠く離れた真珠湾へと渡りました。そこで打ち上げられた3 発の「白菊」には、それぞれ異なる、しかし共通の願いが込められていました。
1発目:米国の戦没者への慰霊
2発目:日本の戦没者への慰霊
3発目:世界の恒久平和を願って

本書は、花火を通じた鎮魂と祈りの物語であり、嘉瀬誠次氏というひとりの職人が2023年に世を去るまで生涯をかけて捧げた、平和の祈りの記録です。

Photo by ©︎Yuko Iida

目次■
プロローグ 長岡花火と伝説の花火師
第一章 アムール川に咲いた「鎮魂の花」 一九九〇年、ハバロフスク
第二章 花火師とシベリア抑留 一九四五年、極寒のシベリア
第三章 嘉瀬の偉業を追って 二〇一三年冬、ハバロフスク
第四章 伝説の花火師・嘉瀬誠次の仕事 一九四九年〜二〇一二年、盛夏の長岡
第五章 それからの花火「白菊」 二〇一五年(戦後七十年)、真珠湾
エピローグ 嘉瀬さんと私

著者紹介■
山崎まゆみ(やまざき・まゆみ)
文筆業・跡見学園女子大学兼任講師(観光温泉学・観光取材学)。新潟県長岡市出身。
内閣府「クールジャパン・アカデミアフォーラム」、内閣官房東京オリンピック競技大会・東京パラリンピック競技大会推進本部事務局「ユニバーサルデザイン2020 関係府省等連絡会議 街づくり分科会」「ユニバーサルデザイン2020 評価会議」ほか、観光庁や地方自治体の観光政策会議に有識者として多数参画。
著作に『宿帳が語る昭和一〇〇年』(潮出版社)、『さあ、バリアフリー温泉旅行に出かけよう!』、文庫『温泉ごはん』『ひとり温泉 おいしいごはん』『おいしいひとり温泉はやめられない』(以上、小社刊)など多数。

■書誌情報

書名:鎮魂の花火「白菊」
サブタイトル:長岡の花火がつなぐシベリアと真珠湾
著者:山崎まゆみ
仕様:46判/並製/248ページ
初版発売日:2025年7月28日
定価:2,200円(本体2,000円)
ISBN:978-4-309-03977-0
https://www.kawade.co.jp/np/isbn/9784309039770/

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