ためし読み - 育児
児童精神科医が教える、イヤイヤ期の正しい子どもの叱り方
2026.05.25
お母さん、お父さん。 どうぞ子どもを甘やかすことを決して恐れず厭わず、一生懸命にかわいがって育ててあげてください。いい子にしているときにかわいがるのではなく、どんなときにも愛してあげてください。 子どもは愛されることで、いい子になるのです。
この言葉を遺したのは、2017年に惜しまれつつこの世を去った児童精神科医・佐々木正美さん。遺著『子どもの心の育て方』は、没後も毎年のように版を重ねるベストセラーです。
佐々木さんの本はいずれも、具体的なノウハウではなく、親の心の持ちようを説き、悩める親世代の支えとなり続けています。
昨年もTBS「THE TIME」にて堺雅人さんが佐々木さんの本を愛読していると紹介し、話題となりました。

『子どもの心の育てかた』
Amazon、楽天ブックスほか全国書店で発売中
本書から、お父さんお母さんから特に反響が大きかった、「子どもの反抗は、喜ぶべきものです。『だって』が始まったら、『やっと来たか』と、その後の成長を楽しみにしながら接しましょう。」を全文公開いたします。
子育てに悩んだとき、子どもへの接し方に迷ったとき、お守りとなってくれるような言葉たちです。

子どもの反抗は、喜ぶべきものです。
「だって」が始まったら、「やっと来たか」と、
その後の成長を楽しみにしながら接しましょう。
一度いったこと、叱ったことをけっして忘れず、ずっとそれを守っている子どもがいたら、これはとんでもないことで、ほとんど心の病気の状態です。
子どもはそうしたことを片っ端から忘れることで、失敗を繰り返し、学ぶものだからです。
たとえば家にお客さまがきたとき、「きちんとご挨拶をしなさい」と親は子どもにいいますが、一度でそれを身につけて、次のお客さまがあったときは、自分から出てきてきちんと挨拶できる子どもなど、普通ありません。ほぼすべての子どもは、毎回毎回、「ほら、きちんとご挨拶しなさい」といわれなければ、挨拶などしません。これが健康な状態です。親のお客さんに挨拶したい、などという子どもは普通おりません。いるはずがないのです。自発的に挨拶できるようになるのは、思春期以降のことで、その時期になって挨拶ができなければ、それも大きな問題ですが、幼児期にきちんと挨拶できたら、こっちもかなり大きな問題です。
親は、この部分を間違えないでおきたいものです。
大きくなってから身につけるべきことが、小さいときからできるようになっていると「とてもいい子」と見間違ってしまいますが、小さいときには小さい時期のありようというものがあるのですから、そこをきちんと見ておかなければなりません。
好奇心うずまくエネルギーのかたまりを、3歳ごろからの子どもは身体の内部にかかえ、そのエネルギーがいつも活発に活動しているのです。
それを見守る側は、ただ黙って見ていさえすればいいというわけにはいかないでしょう。やっぱり、ときには「それは危険だからいけない」「ほかの人の迷惑になるからいけない」など、適度に叱り、注意しなければなりません。
けれども、そのときはすぐに忘れられるような叱り方をするのがいいのです。なかなかむずかしいことかもしれませんが、子どもの心にぐさっと刺さるような、次の行動をおどおどしながらしかできなくしてしまうような叱り方はいけません。
もっと別の言葉でいうならば、子どもの自尊心を傷つけるような叱り方というのがいけないのです。3歳の子どもであっても、子どものプライドを傷つけるような叱り方は、できるかぎりしてはなりません。
子どもが自発的になるということは、反抗的になるということでもあります。
親は、子どものはじめての反抗に驚き、「前はもっといい子だったのに」などと心配するかもしれませんが、反抗しないほうがずっと心配です。反抗的になれるということは、自発性がきちんと育っていることですから、大喜びしていいくらいなのです。反抗が終われば、必ず主体性のある人格の成熟が見られます。成熟の前の嵐は大きいほど、飛躍的な成長が待っている、と考えてください。
もちろん子どもの理不尽な反抗に迎合し、手をこまねいて見ている、ということではなく、叱るべきものは叱らなくてはなりませんが、叱りながらも「今は反抗的だけれど、あとの成長が楽しみだな」というぐらいの、ゆとりある親心をもって叱ってほしいと思います。魚を釣り上げるときの強烈な引きと同じです。その「手応え」を楽しむところによさがある。強引に引き上げると糸は切れてしまいますよ。
「だって」という口答えにも、竿さばきを合わせながら、やさしい親心をもって、抵抗をも楽しみながらこちらにたぐり寄せてやるのがいい。魚は技術だけで釣れるでしょうが、子どもの成長は技術だけではだめです。
==全編は『子どもの心の育てかた』でお読みください。==

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