連載
『花歌は、うたう』 2
小路幸也(しょうじ ゆきや)
宮谷花子 四十二歳 「博多?」「そうだよ」お母さんがそう言って、揚げしんじょを一口パクリと口に入れてから頷いた。口にものが入っている間は口を開かないから、こっちもほうれん草のおひたしを食べて、ご飯を口に入れて、食べながら待った。花歌も睦美ちゃんもそうしている。お母さんの次の言葉を待ってい
2016.06.20花歌は、うたう
小路幸也(しょうじ ゆきや)
宮谷花子 四十二歳 「博多?」「そうだよ」お母さんがそう言って、揚げしんじょを一口パクリと口に入れてから頷いた。口にものが入っている間は口を開かないから、こっちもほうれん草のおひたしを食べて、ご飯を口に入れて、食べながら待った。花歌も睦美ちゃんもそうしている。お母さんの次の言葉を待ってい
2016.06.20小路幸也(しょうじ ゆきや)
Prologue 「大きくなったねぇ。高校生? 十七歳? そうかぁ、もうそんなになるんだねぇ。そうだよ、スタジオで何回もね。僕は君を抱っこもしたんだよ。君はもうニコニコ笑ってて本当に可愛くてね。皆の人気者だったよ。いや、泣いたりはしなかったんだそれが。レコーディングだから、いくら防音っても
2016.05.19