文庫 - 随筆・エッセイ

【試し読み】あんたら、ほんまにすごすぎるで! いま日本で最もおもろい生命科学者が解説する研究者18名の人生『生命科学者たちのむこうみずな日常と華麗なる研究』

生命科学者たちのむこうみずな日常と華麗なる研究
仲野徹

(イラスト:髙栁浩太郎)

 

あんたら、ほんまにすごすぎるで!

「あっぱれ!」と思わず唸らされるような、歴史に名を残す成果をあげた科学者たち。彼らはどれくらいすごいのか。

いま日本で最もおもろい生命科学者が、18名の研究者を選りすぐり、その独創的で、むちゃくちゃで、けれども見事な人生と研究内容を解説する。

文庫化を記念して、「文庫版 はじめに」&冒頭ページを公開します。ぜひお読みください。

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文庫版 はじめに

 単行本『なかのとおるの生命科学者の伝記を読む』を出版してから早くも八年。思いがけず文庫化のお話をいただきました。あちこちに講演や講義でお呼びいただいた時に、けっこう「先生の伝記の本、おもしろかったです」と声をかけてもらえたり、サインをお願いしますと頼まれることがあって、ほんとうにありがたいことだと思っています。

 何を書いたか忘れてしまっていることが多いことには、自分でもあきれてしまいます。こういったエッセイ風のものだけでなく、生業としている研究の論文でさえそうなのですから、どうしようもありません。

 ときどき、必要にせまられて、昔、自分で書いた論文を読むことがあります。さすがにデータはおおよそ記憶していますが、ディスカッションになると、そうでもありません。しかし、読んでみると、じつに鋭い考察がなされているのです。思わず、おぉ、なんと深い、とつぶやいてしまうことすらあります。アホかお前は、あるいは、どこまで自己肯定的やねん、と思われるかもしれません。しかし、本当の話だからしかたないのです。

 自分で書いた本を読み返すことは、資料として参考にする時以外、ほとんどありません。しかし、今回の文庫化にあたってはこの伝記本を読み返してみました。誰について書いたかくらいは、さすがに覚えていましたが、どんなことを書いたかは、当然のごとく、ほとんど記憶にありませんでした。

 しかし、むちゃくちゃおもしろい! 昔の自分と対話しているようなものなので、信じられないくらい気が合うのです。そのうえ、昔書いた論文を読む時と同じように、おぉ、素晴らしい考察がなされている、と思うところもいっぱいありました。

 論文を書いたり、本の原稿を書いたりする時は、自慢じゃありませんが、ものすごく集中して考えます。けれど、書き終えたら、その内容がきれいさっぱり脳みそから出ていってしまう体質みたいです。そんなザル頭ですが、さすがに一〇年近くも年を経ると、経験知が増えて、違う角度から物事を考えられるようになっています。(より正確には、そう思いたい、ですが……)

 ということで、文庫化にあたり、半分くらいの項目で、一〇年近く前に考えたことに、あらたに調べたり考えたりして、いろいろなことを書き加えました。これは、おぉ、この数年の間にやっぱり賢くなったんちゃうんか、と、自己肯定感がいやます楽しい作業でありました。

 最後に、あつかましくも自伝を付け加えてあります。自己肯定感が強いといわれる私ですが、自発的に書いた訳ではなくて、編集者さんにそそのかされてのことです。さすがに恥ずかしかったりしたのですが、昔のことを思い出す楽しい作業でもありました。まったく偉大でない研究者であっても、けっこうな偶然や幸運があることを知っていただけたら幸いです。

 単行本の「はじめに」にも書きましたように、生命科学の研究者の人生って面白いなぁと思ってもらえたら、また、そこから何かを学び取ってもらえたら、とてもうれしいことであります。

二○一九年六月 仲野徹

 

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\ 歴史にきらめく研究者18人、ぜひ本書をお楽しみください! /

生命科学者たちのむこうみずな日常と華麗なる研究』仲野徹
河出文庫●2019年8月発売

生命科学史にきらめく成果をあげた研究者18名の、若干むちゃくちゃで、しかし見事な人生を、日本で最もおもろい生命科学者が解説!

文庫版オリジナルの、研究者の魅力を分析したチャート図あり、似顔絵あり……。
書き下ろし 「『超二流』研究者の自叙伝」も必読!

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著者

仲野徹

1957年大阪生まれ。大阪大学医学部卒業後、内科医から研究者に。ヨーロッパ分子生物学研究所、京都大学等を経て、大阪大学大学院医学系研究科教授。専攻は生命科学。著書に『こわいもの知らずの病理学講義』等。

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