文芸季評 山本貴光「文態百版」:2018年6月〜2018年8月
山本貴光
初出=「文藝」2018年冬季号(第1回/第2回) 1 技術今日の文学は技術を書いていなければ十分ではない。かつてそのような意味のことを述べた作家がいた。なぜ技術かといえば、事実として現在私たちが生きている環境の少なからぬ部分が技術によってできているからだ。居住、食事、移動、通信、労働、娯楽、創作、研
2018.12.03「保坂和志」の検索結果 : 10件
山本貴光
初出=「文藝」2018年冬季号(第1回/第2回) 1 技術今日の文学は技術を書いていなければ十分ではない。かつてそのような意味のことを述べた作家がいた。なぜ技術かといえば、事実として現在私たちが生きている環境の少なからぬ部分が技術によってできているからだ。居住、食事、移動、通信、労働、娯楽、創作、研
2018.12.03第158回芥川賞受賞作 若竹千佐子『おらおらでひとりいぐも』(河出書房新社 東京都渋谷区・代表取締役社長小野寺優)が発行50万部を突破しました。同賞の過去10年においては、又吉直樹『火花』、村田沙耶香『コンビニ人間』に次ぐ部数です(出版科学研究所調査による)。若竹千佐子『おらおらでひとりいぐも』は2
2018.02.09写真:小林紀晴【63歳・主婦が突如、芥川賞作家になるまで。】2017年10月、1つの作品が発表されました。若竹千佐子『おらおらでひとりいぐも』。岩手県遠野市出身の専業主婦・若竹千佐子さんが書いたデビュー作となる小説で、選考委員の藤沢周さん、保坂和志さん、斎藤美奈子さん、町田康さんが絶賛し第54回文藝
2018.01.17『おらおらでひとりいぐも』刊行記念対談(前回 1/4回はこちら | 2/4回はこちら | 3/4回はこちら)主婦から小説家へ 保坂 六十歳を過ぎてから小説家としてデビューしたというのは、すごく大きな出来事です。デビューしてしまうと小説家としての人生になるし、そうじゃないと、いくら妄想が強くてもそうは
2017.12.25『おらおらでひとりいぐも』刊行記念対談(前回 1/4回はこちら | 2/4回はこちら)多面的に読める小説 保坂 桃子さんはもともと左利きなんだけど、それでは体裁が悪いといって子どもの頃に親から矯正されているんだよね。そこで、利き手の矯正には「ばっちゃの入れ知恵もあったらしい」という一文が入る。これは
2017.12.22『おらおらでひとりいぐも』刊行記念対談(前回 1/4回はこちら)理屈を杖に、イメージへ開ける 保坂 この小説の新しいところは、老いと理屈っぽさが共存しているところなんですよ。老いっていうのは理屈から離れていくことだと思われているじゃないですか。無我の境地に近づいていったり、理屈が漂白されていくという
2017.12.21『おらおらでひとりいぐも』刊行記念対談最年長受賞ゆえの若々しさ 保坂 小説はいつから書き始めたんですか?若竹 子どもの頃から小説家になりたいと思っていたんですけど、実際に小説を仕上げられるようになったのは、五十歳過ぎ頃からです。それまでは途中でやめてはまた書いて、ということをくりかえしていました。何
2017.12.20[レビュアー]山崎ナオコーラ
『血と肉』中山咲 著 細部から暴力 [レビュアー]山崎ナオコーラ 細部がきらきらしている。中山咲さんの『血と肉』は、ひとつひとつのシーンの書き方が丁寧で、「わあ、こういう描写で来たか!」という驚きで溢れる。おそらく、中山さんが自身の読書体験の中で小説の細部に
2017.03.16町屋良平×マキヒロチ
町屋良平のデビュー作をマキヒロチが冒頭マンガ化!『青が破れる』藤沢周氏、保坂和志氏、町田康氏大絶賛──新たなる青春小説の誕生を告げる、第53回文藝賞受賞作! この冬、彼女が死んで、友達が死んで、友達の彼女が死んだ――恋と青春とボクシング……。悩める青年・秋吉をめぐる、現代の「生」の物語。&
2017.01.17【評者】種田陽平
『遠い触覚』保坂和志『遠い触覚』保坂和志著【評者】種田陽平 ──言葉による長回し──映画には長回し撮影というものがある。短いカットの積み重ねには、作り手の意図を確実に反映させることができる。しかし、長回し撮影においては、どんなに計算してとりかかっても、撮影時の演技の流れやカメラワーク、タイ
2015.12.15