恩田陸『灰の劇場』文庫化記念! 小島慶子さん書評掲載。──想像の中では誰もが等しく肉体をもたない生者である
評者・小島慶子(タレント、エッセイスト)
恩田氏本人を思わせる作家が主人公である。実際の事件を題材にした作品が舞台化されることになり、役者のオーディションに立ち会う。そこで思いがけず、大きな動揺を覚えることになる。「ほんとうにあったこと」は、形にしようとすればするほど見えなくなっていく。一度きりの人生は、誰もその本当の姿を知る
2024.02.02「小島慶子」の検索結果 : 4件
評者・小島慶子(タレント、エッセイスト)
恩田氏本人を思わせる作家が主人公である。実際の事件を題材にした作品が舞台化されることになり、役者のオーディションに立ち会う。そこで思いがけず、大きな動揺を覚えることになる。「ほんとうにあったこと」は、形にしようとすればするほど見えなくなっていく。一度きりの人生は、誰もその本当の姿を知る
2024.02.02評・小島慶子(タレント、エッセイスト)
2021年2月15日、恩田陸さんの最新小説『灰の劇場』とKAWADEムック『文藝別冊 恩田陸 白の劇場』を同時刊行いたします。並べてみるとまるで双子のようなこの2冊は、合わせて読んでも飾っても楽しめる作品となっております。誰かの死が、毎日のように「数字」となって報道される今日。昨今のパン
2021.02.20評者・小島慶子
まだ返事をしていない、と思っている。あの夏、話しかけてくれた人に、私はまだ返事をしていない。「個人として考えてきたこと」を命がけで打ち明けてくれた人に、私は何を返せるだろうか。その道は閉ざされているのに。幾重にも隔てられたかの人と私の間には、しかし紐帯(ちゅうたい)があるのだという。血の通った肉体
2019.05.20【評者】小島慶子
『消滅世界』村田沙耶香『消滅世界』村田沙耶香 【評者】小島慶子身に覚えのある未来 びっしりと産み付けられた虫の卵を見てギョッとしたことはないだろうか。親虫は本能のままに産卵したのだろうが、私はその母虫の執念よりも、母虫をそのように生かしめている摂理が怖い。『消滅世界』は、そうした
2016.03.08