特集・コラム他 - 書店員さん感想まとめ

「綿矢さん、私たちは今何を見せられているんですか? 見てもいいんですか?」こんな綿矢りさ、読んだことない。読んだほうがいい。『嫌いなら呼ぶなよ』感想まとめ


綿矢りさデビュー20年を記念する傑作短篇集『嫌いなら呼ぶなよ』。発売前から「こんな綿矢りさ、読んだことない!」と書店員さん中心に話題を攫い、たちまち重版となりました。

いただいた、なんと100件を超える感想から、一部を公開いたします。

小説の感想は「感動した」「泣けた」という文言が並びがちですが、本作は「なんだコイツ?」って奴しか出てこないのにスッキリ!」「誰のことも好きになれないし共感もできないのに、面白い。」「綿矢さん、私たちは今何を見せられているんですか? 見てもいいんですか?」など、いっぷう変わった言葉が集まりました。
 『嫌いなら呼ぶなよ』は、「こんな綿矢りさ」どころか、「こんな小説、読んだことない……!」と戦慄する1冊になりました。

 気になった方はぜひ書店へ! 経験したことのない読後感があなたを待っています。

 

【あらすじ】
表題作「嫌いなら呼ぶなよ」
妻の友人の新居お披露目パーティー! しかしその真の目的は、自分の不倫を暴き咎めるために仕組まれた糾弾裁判で……。

「眼帯のミニーマウス」
「目って、りなちゃんもともと二重じゃない」「私のいまのは、私の好きな二重とジャンルが違うの」
カワイイが命のりな。ところが会社の同僚から整形の噂が広まって……。

「神田タ」
YouTuber・カンダに粘着するフリーター紗永恵。バイト先の系列店に現れたカンダに、ついリアルで接触してしまい……!?

ロウガイジヤクヤカラ」」
「一応現時点では芥川賞最年少作家といえばこの私なんですけど?!」
老害作家<綿矢>と、ライター<シャトル蘭>のメール応酬バトルに巻き込まれた編集者<内田>は……!?

 

「なんだコイツ?」って奴しか出てこないのに、読んでいるうちにいつの間にか「わかるわかる」「そうだよね」と肩入れしてしまうのはなぜだろう。
誰に感情移入するかで本当の自分がわかる…かも。

アマノ 有玉店 山本明広様

 

最初から最後までテンションぶち上がりまくり!! もうニヤニヤが止まらない。登場人物みんなイタい! イタすぎるよ〜。
でも、もしかして自分もそんな「イタい」人の一人なのかも。この本が楽しくて仕方なかったから。

紀伊國屋書店 さいたま新都心店 大森輝美様

 

最初から最後までずっと気持ち悪く、最後まで引きながら読みました。誰のことも好きになれないし共感もできないのに、面白い。
最後の話、あまりにも唐突で戸惑いを隠せませんでしたが一番好きです!
綿矢さん、私たちは今何を見せられているんですか? 見てもいいんですか? と。
新手の、過激な読者サービス最高でした。まだ続きが読みたいです。

丸善 ラゾーナ川崎店 大貫愛理様

 

どの主人公も笑っていられる状況じゃないのに笑っている。わりとほがらかに。読んでいる私も笑ってしまう。笑いたくないのに。読みながら怖くなって「負けた」と思いました。

本のがんこ堂 野洲店 原口結希子様

 

エンタメ小説ではないのに止まらない面白さ! 楽しいし怖いし痛快だしモヤモヤするし、とにかく読んでラストの爆弾を一緒に(以下略)。

紀伊國屋書店 ららぽーと横浜店 千葉拓様

 

清々しいほどふっきれた小説に自分を開放してもらった。着飾った言葉より、心の底から出てきた言葉、思いはどんなものをもなぎ倒す。けっこうドロドロしたことなのに、発散されたような救われた気持ちは何? 心を掬い取り、解放された。

ジュンク堂書店 滋賀草津店 山中真理様

 

綿矢先生の凄さと怖さ(笑)があふれてます。

BOOKSジュピター 林貴史様

 

綿矢さんのメッセージにもある通り明るい闇で構成された人(目も鼻もないムキゆでたまごって表現、ぴったりすぎて怖いです!)のダークパワー蔓延しているように思います。(SNS等で)文章でしか接したことのない人々、こんなふうに考えてたのですね!

須原屋 コルソ店 大滝裕子様

 

綿矢さんの本は初めてでしたがめちゃくちゃおもしろかったです! 特に言葉のチョイス、リズムある文体に圧倒されました。

ときわ書房 本八幡スクエア店+GEO 鈴木崇広様

 

(ちょっとネタバレ)言葉の走り方が心地良く、一気に読んでゲラゲラ笑いました。本を閉じたときの余韻が好きですが今回は「ババア死ね」で幕が下り、プルーフを閉じるとそこに水玉模様の綿矢りさがいて鼻から何かが飛び出しました。

ブックスページワンIY赤羽店 清宮久雄様

 

冒頭とラスト。そのあまりの差にぞーっ。最近、誰の顔もよくわからなくなってきた気がするのは決してマスクのせいだけじゃないな…この作品を読んで気づいたところです。

紀伊國屋書店 徳島店 吉田咲子

 

面白かったです。ふとした本音がドバドバ出てくる綿矢作品、もちろん大好きです。毒がありそうでない、でもダークなパワーは全開。もっとやってくれえ〜と思わず叫びたくなる。

有隣堂 藤沢店 佐伯敦子様

 

イタイし、ジコチューだし身勝手。いたたまれないしなんか変なのにちょっとだけ共鳴。

六本松 蔦屋書店 峯多美子様

 

どこか身に覚えがある論理展開に時々、笑顔をひきつらせんがらも、めちゃめちゃ楽しく読ませていただきました。社会批評としても読める詰将棋のように描かれる論理展開をその果てのリアルでありながらもエンタメでカタルシス感ある顛末、そういう企てを蹴散らす最後の書き下ろし、本当に最高でした。

栗林書房 レッド小阪店 村尾康希様

 

記憶の向こうに追いやってた自分のちょっぴり嫌な部分を表に引き出された感じ…怖いです。

TSUTAYAWAYガーデンパーク和歌山 中江敬子様

 

よく目にする140字にまとめられた地獄を双眼鏡で覗き見しているようなかんじでした。他人事なのに他人事じゃない、「ソラニンてんこもりの過激発言」と「焦点が涅槃」という表現がとても刺さりました。好きです。

宮脇書店 佐沼店 千葉遥様

 

私達の日常に近い物語に、衝撃のスパイスが落ちることで、最初に感じていた感情がどんどん変容していく様子にドキドキが止まりませんでした!! 大人になるとなかなか本音が言えなくなりますが、本心をバチバチにぶつけ合うシーンに心のもやもやがばりっとばがれました。

紀伊國屋書店 福岡本店 宗岡敦子様

 

闇が闇と思えなくなる面白さでイッキ読みでした。書くことによってストレス発散しているのかと思ってしまいました。

オックスフォード 福江店 山本聡様

 

読み終えたあと、「そういえばあの子、今頃何してるんだろう」と思うくらい、親しい誰かの、もしかしたら自分の、見てはいけない心の内を覗いたような気持ちです。

たらば書房 小野里 愛様

 

老は害で若も輩、さいこーに笑いました。笑った後に胸がきゅっと苦しくなりました。自信と不安の中でかきみだされるアイデンティティ+深酒。こんなに危険でニヤニヤできるシチュエーション!! ヤバーーーーーーーーい!!

ジュンク堂書店 秋田店 進藤菜美子様

 

複雑な現代社会を渡ってゆく処世術がリアル。物語の状況は悲惨だがリズムのある文章でサクサクと読み終わる。そして後に残る笑いと毒の分量がちょうど良い。

平安堂 新長野店 清水末子様

 

最高でした!! ゲラゲラ笑いたいところを電車の中でガマンして読んだのでニヤニヤ笑う変な人だと思われたことでしょう…。ぴえん。

紀伊國屋書店 梅田本店 辻本彩様

 

読んでいるうちに自分の方がズレているのではないかと思えるような内容。特に「嫌いなら呼ぶなよ」。不倫している男性の方が正しいと思えてしまう。結局常識って自分の中にしかないもので他人に当てはめるものではないなと思った。書き下ろしはとにかく笑った。最後の最後まで最高におもしろかったです。

有隣堂 淵野辺店 大久保あすか様

 

本人自身が軽妙な語り口で語る心の闇。目立ち合い、でも正体不明で…という心のうち、テンポよく語られますが最後の話、本心をさらけ出した内田くんに二人のお姉様、どうか器の大きさを見せてください。

正文館書店 長久手フレンドタウン店 各務雅美

 

現代の黒い部分をギュッとしたようなストーリー。すっごくわかる!とクスッとしたり、うーーー苦しいーってツラくなったり。気持ちが忙しかったです。大好き。

BOOKSえみたす アピタ西大和店 浦野愛様

 

ホラーではないのにどれも怖くて、特に最後のはなしのラストのメール文面は肝が冷えました。本音はおそろしいです。

改造社書店 松本駅店 山村奈緒美様

 

共感しちゃいけない、おもしろいと思っちゃいけない気がするのに、正直おもしろい。人間くささ全開で清々しい。

TSUTAYA 太子店 大道幹子様

 

もう最高。痛快。切れ味抜群。
人間の内側の本性をこんなにテンポ良く読めたら笑ってしまうのだと初めて知った。この本は、面白い。強く実感できる一冊。”

福岡金文堂 志摩店 伊賀理江子様

 

 

最っ高に面白かった!! 人は一筋縄じゃいかない。みんな心のなかに歪んだ正義を持っているんだと肌で感じました。

紀伊國屋書店 天王寺ミオ店 木曽由美子様

 

ナイフではなくて、針のチクリとしたような「刺され方」をする作品でした。痛い…。

成田本店 みなと高台店 櫻井美怜様

 

ポーカーの相手が、手札を全部こちらに向けて見せながら、勝ちを確信してニヤニヤしているような不気味さを感じた。

くまざわ書店 錦糸町店 阿久津武信様

 

「眼帯のミニーマウス」と「神田タ」のちょうど中間地点に自分を見た気がし、エグられながら読みました。アフターコロナ小説の中で、群を抜く面白さと、ヒリヒリする肌感覚! ショートショートの映像で見てみたいとも感じました。

宮脇書店 春江店 東海林様

 

面白かった!!
霜月さんの心の声に笑いが止まらない。霜月さんのピンチを救いたい、という思いが強くなっていく私はどこか変なのだろうか? 笑って、読んで、怖くなる。確かにこれは「明るすぎる闇」だ。「焦点が涅槃」とか「女を出し始めたロッテンマイヤーさん」とか斬新な表現が魅力的でもっともっと綿矢さんの文章が読みたくなりました。”

くまざわ書店 新潟西店 大谷純子様

 

誰の為の承認?
多かれ少なかれあらゆる人が秘めているであろう「承認欲求」を軸に自我と外からの評価のズレを皮肉たっぷりに描いた短編集。
喫緊だとSNSが多くとりあげられたりしているが、整形やエントリーシート、ディベート論なども含まれるのだろうか。このプルーフを読んでいる外では某選挙の街宣車の声が流れているが、これも一つの承認欲求ではないか、と勘繰ってしまう。
正しくこの欲に対処すれば大きな力になりうるのにと考えてしまった。「老は害で若も輩」は反則です。爆笑しました。

明林堂書店 南宮崎店 河野邦広様

 

綿矢りさ作品の概念が軽くフッ飛びました。「老は害で〜」はうっかり爆笑。

岩瀬書店 富久山店プラスゲオ 吉田彩乃様

 

一話目の「眼帯のミニーマウス」でガツンとやられました。素直に自分を出すことの楽しさと難しさが絶妙!!

文真堂書店 ビバモール本庄店 山本智子様

 

恐いけど面白かったーー!
綿矢さんの新たな小説! このような物語も書かれるのだなと驚き、そして底に見え隠れする人間の闇の部分。明るさの中に潜む毒。恐ろしいや。”

東京旭屋書店 アトレヴィ大塚店 北川恭子様

 

ものすごくめんどくさい気持ちになるのにそのめんどくささがおもしろくなるという他に類を見ない快作!

ブックスタジオ 新大阪店 奥田勝様

 

この極端な人達、こわすぎる…でも笑えない…。言葉がぶわっと並んでいる、この本がとてもこわい!!

大垣書店 イオンモールKYOTO店 辻香月様

 

どの章もおもしろくタイトルともリンクしていてさすが綿矢りさと思いました。

久美堂 玉川学園店 松原沙莉様

 

マスク生活は繭の中で暮らす安心感を生み、YouTuber推しから犯罪者になりかけ、嫌いと表明せず同じ空間に呼び出して晒す、極めつけは作家・ライター・編集者あるある

水嶋書房 くずはモール店 和田章子様

 

笑ってはいけない内容なんですけど正直なところなにも考えずにひたすら楽しませていただきました。

明文堂書店 氷見店 前花祐太様

 

自分の中の「黒い」が満たされたような、なんともいえない充足感を味わえました!

幕張 蔦屋書店 後藤美由紀様

 

どうしようもない人たちのどうしようもないお話。
正直、めんどくさい! なのに他人事に思えないのはどうしてだろう…。彼らの狂気の欠片が私の心にもあるのかなあ? 怖っ!! 気をつけよ。

東京旭屋書店 新越谷店 猪股宏美様

 

現実に見聞きすれば、ドン引いてしまいそうな、かなりエグいことをしている人たちの側に立ってしまったり、更には共感してしまったり。なぜそんな気持ちになったのか、改めて考えても全くわかりません…が、とにかく超面白かったです。

SerenDip明屋書店 アエル店 武方美佐紀様

 

“とってもおもしろかった! どの物語も緊張感あふれる絶妙な会話で、ハラハラしながらも楽しめました。
“”明るすぎる闇””って表現がぴったりです。”

喜久屋書店 帯広店 磯野あかね様

 

はじめて綿矢りさという作家に出会った感じがしました。作品も後ろのページになるほど安心とドキドキがつのりました!

西沢書店 星裕子様

 

「焦点が涅槃」「明るすぎる闇っていうか」「目に力のないイケメンだ」などなど、パワーワードが散りばめられており、「それだ!」と思ったり、吹き出したり、とても楽しませていただきました。

谷島屋 ららぽーと磐田店 相羽美保子様

 

自分はこんな人間だということをせめて提示していきたいと思います。

ジュンク堂書店 藤沢店 鈴木かがり様

 

“黒綿矢! えぐりにえぐったら あの人も この人も こんなヘドロみたいな気持ちがどろどろ湧き出てくるんだろうなあ。
(綿矢さん好きです。『生のみ生のままで』本当に好きです。とお伝えくださいませ)”

ジュンク堂書店 芦屋店 山ノ井さより様

 

読んだノリで思わず言ってはいけない本音が私の口から出そうになりました。(「ババア死ね」とは言いませんが)胸のマリトッツォも多数派のいじめも秘密結社のマスクや繊細ヤクザも、言い回しが的確すぎてクセになります。どの話もクズなのに、クズすぎて愛しくなってきました。

蔦屋書店 熊本三年坂店 迫彩子様

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