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出版を拒否され続け、自費出版で世に出た最凶作品「ゴーリーの作品中もっとも可愛くない」初期問題作、日本初上陸

出版を拒否され続け、自費出版で世に出た最凶作品「ゴーリーの作品中もっとも可愛くない」初期問題作、日本初上陸

『けだもの赤子』 河出書房新社

 アメリカの絵本作家エドワード・ゴーリー。
 子どもが次々と死んでいく残酷な物語や、倫理やモラルを逸脱した世界観……ゴーリー自身のミステリアスな人物像ふくめて「唯一無二の世界」「大人のための絵本」として長いあいだ読者の心をつかんできました。

 代表作は『ギャシュリークラムのちびっ子たち』『うろんな客』『優雅に叱責する自転車』『おぞましい二人』『不幸な子供』『華々しき鼻血』『キャッテゴーリー』…多作なゴーリー作品は、大人同士でユーモアのあるプレゼントとしても人気があります。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 最新邦訳作品『けだもの赤子』(税込1,540円)は、まさにゴーリーが子育て中の友人の話にインスピレーションを受け、贈られた作品。
ただ、ゴーリー以外にこのような内容の作品を友人に送る人はいないだろうと思われる作品。「おそらくゴーリーの作品中もっとも可愛くないキャラクターが描かれている」とエドワード・ゴーリー・ハウスのディレクターを務めるグレゴリー・ヒスチャク氏も語っており、実際、出版社からは出版を拒否され続けました。
 最終的にはゴーリー自ら出版社を興して刊行した、知る人ぞ知る傑作、問題作と言われています。

 

☆本書をすこしだけ公開!

Once upon a time there was a baby.

Its tiny eyes were surrounded by large black rings
due to fatigue,for its guilty conscience hardly ever 
allowed it to sleep.

Dangerous objects were left about in the hope that
it would do itself an injury, preferably fatal.

柴田元幸氏 『けだもの赤子』訳者あとがきより

〈一部抜粋〉
 The Beastly Baby と題されたこの本がどう生まれたのか、その起源についてはかなり正確に特定できる。マルカム・ホワイトの『ゴーリー・シークレッツ』がもっとも明確に語っているので、以下の情報は主としてホワイトの著書に拠る。作家アリソン・ルーリーはハーバード在学中からゴーリーの親しい友人だったが、彼女が初めて子供を産み、数か月後にゴーリーに宛てて書いた手紙のなかで、「映画にも行けやしない、うちにいて the beastly babyの世話をしないといけないから」と愚痴った。この場合 the beastly baby は「いまいましい赤ん坊」くらいの意味だが、ゴーリーはここから霊感を受けて、まさに言葉本来の意味で beastly(beast=獣)な赤ん坊を創出したのである。この本は公式には(たとえば、『ウィローデールの手漕ぎ車』が名優リリアン・ギッシュに献げられているようには)誰にも献げられていないが、ゴーリーはルーリーへの手紙のなかでこう書いている。

 君の赤児の写真をありがとう。まあいつものことだが、たまたまこれを見て〔中略〕僕は週末にある種の興奮状態に陥り、本を一冊書き、絵も描いた。これを件の赤児に献げる。

 こういう出産祝いを贈れるとは、エドワード・ゴーリーとアリソン・ルーリーは本当に深い信頼関係にあったのだなあ、とあらためて思う。
 ゴーリーはまた、ルーリーに宛てた手紙のなかで(上と同じ手紙かどうかは不明だが、時期はどちらも1953年9月)、この本を「何の教訓もない、一種倒錯した教訓物語」と自ら評している。言葉の矛盾もいいところであり、いかにもゴーリーらしい。

 

・グレゴリー・ヒスチャク氏 『EはエドワードのE ゴーリー大解剖』(小社刊)より

〈一部抜粋〉
 1953年9月に描かれた『けだもの赤子』は衝撃を与えることを狙った小さな本であり、実際大いに衝撃を与えた。まず、何社もの出版社候補が尻込みした。その物語と、荒々しい線で描かれた白黒の絵は、子供にも若者にも、そしてあらゆる普通の大人にも不適だと見なされたのだ。
 くり返される拒絶にもめげずゴーリーは前進を続け、1962年、『けだもの赤子』は刊行された。やがて10冊あまりを出版することになる、自らの会社ファントッド・プレス最初の一冊となったのである。同社刊行の本のなかでも現在ではとりわけ入手困難であり、作品の衝撃も時の流れに薄まってはいない。滑稽でありつつ痛ましく苦悩するタイトルキャラクター(名前はなく「けだもの赤子」とのみ言及される)は、自身がもたらす不快さの犠牲者にほかならない。世に放たれた嫌悪そのものとして、ペットの足を引きちぎり、ごぼごぼ不快な音を立て、両手とも左手で、陰鬱に考え込んでいる。

 

不穏な作家、ゴーリーの、特に曰く付きの作品『けだもの赤子』は大好評発売中です。

 

■新刊情報

書名:けだもの赤子
著者:エドワード・ゴーリー 柴田元幸訳
仕様:B5変形版/上製/72ページ
発売⽇:2026年2月18日
税込定価:1,540円(本体1,400円)
ISBN:978-4-309-25822-5
URL:https://www.kawade.co.jp/np/isbn/9784309258225/
     Amazonで買う     楽天で買う

 

 

■おすすめ既刊作品

ゴーリー生誕100年記念出版『EはエドワードのE ゴーリー大解剖』

著者:グレゴリー・ヒスチャク/エドワード・ゴーリー公益信託
監訳者:柴田元幸
訳者:今井亮一/福間恵/平沢慎也/広瀬恭子/高田怜央/鈴木孫和/今関裕太/坪野圭介
体裁:B4変形/上製本/384頁/オールカラー
発売日:2025年12月9日
刊行記念特価:税込16,280円(本体14,800円)※2026年5月以降は17,600円(税込)で販売します。
ISBN:978-4-309-25815-7
URL:https://www.kawade.co.jp/np/isbn/9784309258157/
       Amazonで買う     楽天で買う

 

特設サイト:https://www.kawade.co.jp/edwardgorey_100/

〈本書の特徴〉

・ゴーリー作品ほとんどの邦訳を手がける翻訳者・柴田元幸氏が監修!「エドワード・ゴーリー作品が数倍は楽しめるようになる、理想のゴーリー解説書です。」

創作ノートや修正前原稿、ゴーリーハウス所蔵の貴重な未公開資料など、400点以上の図版と解説で読み解く公式愛蔵版”ゴーリー大解剖”

・『ギャシュリークラムのちびっ子たち』『うろんな客』『まったき動物園』『優雅に叱責する自転車』『おぞましい二人』など、名作の誕生秘話が満載!

・初版限定のシリアルナンバー入り

<目次>

第1章 不幸な子供たち──ゴーリー氏を取りまく風景 
第2章 変異体動物園──そこらじゅうかいじゅうたちのいるところ
第3章 エドワードおじさんの事件簿──ゴーリーと犯人たる執事たち
第4章 ステップを踏む──あるいは、年がら年中ニューヨーク・シティ・バレエを観に行くこと
第5章 殺し文句のドレス──ゴーリー氏と、社会という生地
第6章 わざを隠す──エドワード・ゴーリーの謎めいたメッセージ
第7章 ひぴてぃ うぃぴてぃ──エドワード・ゴーリーとナンセンス言語の豊かさ
第8章 むがむちゅう なにもかも かきとめる──エドワード・ゴーリーの 興味をそそるリスト

岸本佐知子氏、ヒグチユウコ氏、W推薦!!

「答えのないなぞなぞのような、果てしない迷宮のような、ビックリハウスのような、ゴーリーさん世界の魅力を読み解く、最強のガイドブックがやってきた。」 ――岸本佐知子


「わたしの『たからものの本』の一冊となりました。」 ――ヒグチユウコ

刊行記念特価での販売は4月末日までです。お早めにご注文ください。

 

 

エドワード・ゴーリー Edward Gorey

1925年シカゴ生まれ。独特の韻を踏んだ文章とモノクローム線画でユニークな作品を数多く発表。おもな邦訳に『うろんな客』『ギャシュリークラムのちびっ子たち』など。2000年没。

 

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著者

エドワード・ゴーリー

1925年シカゴ生まれ。独特の韻を踏んだ文章とモノクローム線画でユニークな作品を数多く発表。おもな邦訳に『うろんな客』『ギャシュリークラムのちびっ子たち』など。2000年没。

柴田元幸

1954年、東京生まれ。翻訳家・アメリカ文学研究者。東京大学名誉教授。2005年、『アメリカン・ナルシス』でサントリー学芸賞受賞。ほかの著書に『生半(半は旧字)可な學者』(講談社エッセイ賞受賞)、『翻訳夜話』(村上春樹氏と共著)などがある。2010年、ピンチョン『メイスン&ディクスン』(上下)で日本翻訳文化賞受賞。

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