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SF小説の挿絵から『エイリアン』まで、「想像宇宙」のすべてに迫る豪華ヴィジュアルブック

『宇宙画の150年史』ロン・ミラー『宇宙画の150年史』ロン・ミラー

『宇宙画の150年史』

宇宙・ロケット・エイリアン

 

ロン・ミラー著

日暮雅通/山田和子訳

 

【序文】キャロリン・ポーコ

 

20 世紀の半ば、衛星タイタンから眺めた土星の光景を精密なタッチで描いたチェスリー・ボーンステルの一連の作品が登場した時、その魅惑的なイメージは、人々を未知の世界の探求へと誘いざなう大きな動因となった。以来、多くの天体画家たちが、傑出した職人的テクニックによって、それなくしては想像のしようもない宇宙の異世界のヴィジョンを、私たちのもとに届けてくれた。息を飲むしかない驚異的なイメージの数々は、見る者の内に冒険への強い憧憬を生み、育んでいった。これらの天体画に触発されて、太陽系探査の人生を夢見るようになり、実際に天文学者やエンジニアになったという者も少なくない。
ボーンステルの最初の衝撃から60 年が経った今日、急速に、太陽系の実像が身近なものとなりはじめている。多数の探査機と、それに搭載された画像機器は、太陽をめぐるいくつもの惑星の荘厳な光景の忘れがたいタブローを、私た
ちの集合精神に刻みつけてきた。私たちがこの目で見ることができるようになったドラマティックな異世界の風景──たとえば、10 年にわたって、太陽系内の惑星の代表格・土星の歴史的な探査を行なっているカッシーニが送り届けてきた驚異的な画像の数々は、これまで、知られざる存在の崇高な姿を描き出そうとしてきた人々が想像の内で紡ぎ上げてきたイメージと同様に、ワイルドでファンタスティックで、決して忘れることのできないものだ。画像をひと目見た瞬間に、私たちは土星にいて、環の上をホバリングし、衛星イアペトゥスの断崖を登とう攀はんしている。
だが、現実の宇宙探査機の時代が到来する以前、“宇宙旅行者”たらんとする者には、天体画家が描く魅惑的な想像世界しかなかった。今日でさえ、あらかじめ決められた探査機の軌道と搭載される機器の制約のもと、実際に撮影できる対象・範囲には限界があって、直接観察できない部分を詳細に描き、目に見えるものにする──理解可能なものにする──ためには、依然として画家という存在がなくてはならないのだ。
本書の編者ロン・ミラーが伝える多彩な歴史的な情報、そして宇宙画という高貴なるジャンルのハイライトの数々は、これまで画家たちによって世界中の人々にもたらされてきた驚きと喜びを改めて思い起こさせてくれる。本書は、彼ら画家たちの天あま翔かける想像力、傑出したテクニック、アーティスティックな才能を称える驚嘆すべき一冊だ。そして、私にとっては、今後とも、画家たちと私たち研究者を結ぶ特別な絆を思い起こさせてくれる一冊となるだろう。宇宙画家たちは、科学者と同様に、ロマンティストであり、夢見る者であり、探求者なのだ。永遠の憧れと希望を持って、探求を続ける者たち……。
私たち研究者と同じソウルを持ったすべての画家に、私は心からの敬意を捧げたい。そして、読者の方々も、本書のページを繰りながらしばしの時間を過ごしたら、きっと、私と同じ思いに包まれるに違いない。

 
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著者

ロン・ミラー

1947年生まれ。米国のイラストレーター兼ライター。天文学や宇宙飛行やSFの分野で書籍執筆やイラストを描く。米国物理学協会優秀賞の「World Beyond」シリーズなど50冊以上の著書がある。

【序文】キャロリン・ポーコ

カッシーニ画像解析チーム、リーダー/ディレクター、CICLOPS 宇宙科学研究所。

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