文庫 - 日本文学

「普通」からはみ出た二人が、隠された島の謎を追う感動のミステリ!!――担当編集者が語る、矢樹純『がらくた少女と人喰い煙突』

■矢樹純(やぎ じゅん)って何者──?

矢樹さんは、第10回『このミステリーがすごい!』大賞の隠し玉として『Sのための覚え書き かごめ荘連続殺人事件』(宝島社)でデビューされました。本作は小説作品として2作目の作品となります。ですので、まだあまり矢樹さんのことを知らないとおっしゃる方もおられるかもしれません。実は矢樹さん、実妹である加藤山羊さんとコンビを組み、漫画原作者としても活躍されております。

漫画原作をつとめた『あいの結婚相談所』は、テレビ朝日の金曜ナイトドラマの枠で、いまをときめくミュージカル俳優・山崎育三郎さんの主演で2017年7月末から実写ドラマ化されたので、ぴんときた方もいらっしゃるのでは。本作と趣はずいぶんと違う作品ではありますが、意外などんでん返しのある作風は、小説作品にも通じるものがあります。

そんな、現在のりにのっている矢樹さんですが、本作『がらくた少女と人喰い煙突』を最初に発表されたのは、いまをさかのぼること約2年前。Kindleストアで、個人出版の電子書籍として発表されたのが初出となります。個人出版の作品であるにもかかわらず、とても高い評価を受け、知る人ぞ知る作品となっておりました。かくいう私も、その作品を見て「こんな面白い作品が…」と思ったことを今でも覚えております。

それから、ご縁あってわたしが担当させていただけることになったのですが、完璧主義の矢樹さんは、さらに良い作品へとするべく何度も稿をあらためて、ようやくこの度の発刊となりました。

 

■多様性の時代に生まれた、あらたな形の本格ミステリ!!

「普通じゃないとダメですか?」

この作品のオビのキャッチコピーです。本作は、<強迫性貯蔵症>という、わかりやすく言ってしまうと「がらくた集めがやめられない」少女と、<窃視症>という「のぞき癖がやめられない」心理カウンセラーが主人公の物語です。いろいろな癖や衝動をもった方々がどんどん認知され、それらがきちんと受け入れられはじめた昨今だからこそ生まれた、あらたな主人公の形なのではないかと個人的には思ってたりしております。

そんな、意外性のあるふたりが主人公ということで、「いったいどんな話になるんだ?」と冒頭からその人物像に引き込まれていくのですが、本作はキャラクターの魅力や意外性に頼っただけの作品ではありません。人の死なないミステリなども多くなってきておりますが、きっちり連続殺人事件が起こるワクワクの(不謹慎ですが…)ミステリなんです。それも出入りが管理された孤島で。「いったいどんな話になるんだ?」は、キャラクターの話だけではなく、本格クローズド・サークルミステリとして、物語の展開のお話でもあるんです。

キャラクター小説好き、本格ミステリ小説好き、ともに楽しんでいただける作品となっております。二兎を追う者…なんて言われたりもしますが、本当にどちらのファンにもおすすめできる作品となっております。

 

■どんなお話?

ここまでで、少しでも内容が気になったと思っていただいた方に、文庫のカバーに掲載したあらすじをご紹介させていただきます。

強迫性貯蔵症という、がらくた集めが生きがいの少女・陶子の前に現れた、心理カウンセラーの桜木。だが彼も「普通ではない衝動」を抱える人間であった。陶子の治療で訪れた狗島で起こる、凄惨な首なし殺人事件。事件の解明とともに明かされる島の哀しい歴史とは。「普通」からはみ出た二人が、隠された島の謎を追う感動のミステリ!!

首なし殺人事件の犯人とは? 島の哀しい歴史とは? そして強迫性貯蔵症の少女・陶子の意外な秘密とは──ぜひ、手に取って謎解きのひと時を楽しんでいただけたら嬉しく思います。

(編集部I)

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