文庫 - 日本文学

名作は、何度でもよみがえる。「もう絶版にはしたくありません」

『水曜の朝、午前三時』という小説をご存知でしょうか?

2001年に新潮社さんから刊行され、その後2005年に新潮文庫として発売になりました。当時は児玉清さんの推薦などもあり大ベストセラーになった小説です。

1984年生まれの私は、恥ずかしながらこの作品の存在を最近まで知りませんでした。今年の春頃たまたま出版業界紙「新文化」の古い号を読んでいたところ、『水曜の朝、午前三時』という作品を紹介する記事が目に止まりました。その記事の中には、
・刊行直後はあまり話題になっていなかったこと
・熱意ある一人の書店員さんが根気強く売り続け、そこから火がつき時間をかけて全国に広がったこと
・児玉清さんの「こんな恋愛小説を待ち焦がれていた。わたしは、飛行機のなかで、涙がとまらなくなった…」というコメントを帯にしてさらに売上が伸びたことなどが綴られていました。

興味を持って読んでみようと本を探したところ、残念ながらほぼ絶版のようで新刊では手に入りませんでした。なんとか1冊探し出してすぐに読んでみたところ、もう本っ当に素晴らしい小説で、圧倒されてしまいました。まだSNSもない時代に、書店員さんの熱意と口コミで作品が広がっていった理由がわかった気がしました。

出版社での書籍化は、編集部提案によるものがほとんで、他部署の人間が提案することはあまりありません。私は営業部に所属しており、企画を出すことはほとんどありませんでした。でもこんな素晴らしい作品が手に入らないのはあまりに惜しい! そんな気持ちで編集部に復刊を相談し、なんとか河出文庫での復刊が決まりました。

復刊決定後、すぐに「新文化」の記事に載っていた書店員さんに会いに行き、当時のお話を伺いました。他にも当時を知っているであろうベテラン書店員の方々に当時のお話を聞いてまわりました。
同時にこの作品を知らない若い書店員さんに読んでもらったりもしたのですが、かなり好評だったことで自信を持つことが出来ました。発売までの間、そんな準備の日々が続きました。

そしていよいよ11月6日に発売を迎えました。
おかげさまですぐに重版が決まり、今月末にも重版分が店頭に並びます。

 

名作は、何度でもよみがえる。

現在、出版界では80年前のベストセラー『君たちはどう生きるか』が大流行しています。かつて多くの人の心をとらえた作品は、時代を超えて多くの人の心に響くのだと思います。
『水曜の朝、午前三時』は、一時的に手に入らなくなっていましたが、今は店頭に並んでいます。
一読すると、忘れられない人を思い出してしまう、
きっと今でも多くの人の心に残る傑作だと信じています。
もう絶版にはしたくありません。
ぜひこの機会に読んでみてください。

(営業部 T)

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