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「クリスマスの夜にもし、東京でテロが起きたら――」 映画『サイレント・トーキョー』製作発表記者会見レポ

2019年12月24日。クリスマスらしい飾り付けで彩られた東京・渋谷のホテルで、来年12月公開の映画「サイレント・トーキョー」の製作発表記者会見が行われるということで、河出書房新社のスタッフたちもこっそりお邪魔してきました!

この作品の原作は、秦建日子さんの『サイレント・トーキョー And so this is Xmas』(河出文庫)。ちなみに著者の秦さんは、「アンフェア」シリーズとして映像化された小説『推理小説』からはじまる「刑事・雪平夏見」シリーズ(すべて河出文庫)などを手がけた作家であり、脚本家・演出家・映画監督としても活躍されています。

 

さて、今回の製作発表記者会見は登壇者が超・超・超豪華!! つい先日クランクアップしたばかりの、佐藤浩市さん、石田ゆり子さん、西島秀俊さん、中村倫也さん、広瀬アリスさん、井之脇海さん、勝地涼さんというメインキャスト全員に、本作のメガホンをとった波多野貴文監督(「SP」シリーズなど)も登壇する、クリスマスイブにふさわしいとっても華やかな会見でした。

 

原作である『サイレント・トーキョー And so this is Xmas』は、クリスマスを目前に賑わう東京で起きる連続爆弾テロと、その犯人を追う数日間を描いた小説。この物語を、豪華キャスト&壮大なスケールで映像化するのが、映画「サイレント・トーキョー」です。撮影は約2ヶ月間、エキストラはなんと延べ1万人以上! さらに、栃木県に作られた渋谷のスクランブル交差点を実寸大で再現したオープンセットは圧巻で、ワンカット終わるたびに、たくさんのエキストラから拍手が湧くようなロケだったそうです! 

 

波多野監督は、「最高のみなさん(キャスト)に集まっていただけて、すごく幸せでした。まだ日本では誰も経験していないテロ事件を、言葉ではなく微妙な表情で表現していただいた。その感情の機微にも注目していただけたら嬉しいなと思っています」と。さらに、今回の撮影のこだわりは、観客が映画の中に入ったような感じを狙って、極力カットを割らずにステディカメラを多用したことだそう。「スクランブル交差点のセットに集まった人数の多さと熱狂感というのが表現できて、12月24日の混乱ぶりを見られると思います」とおっしゃっていました。

 

その後、キャストのみなさんが撮影のこと、作品のことを順番にお話ししてくださいました。少し抜粋してご紹介しますね。

佐藤浩市さんは[謎の男]というご自身の役柄のこともあり、会見中ずっと「あまり喋れないんだよ・・・」と苦笑していらっしゃったのですが、「エキストラの方々も寒い中、本当に頑張っていただいた、大変な撮影だった!」と振り返りながら、「原作を映像的にだいぶアレンジしているので、原作を読んだ方でも楽しめる作品になるだろうと思います」とおっしゃっていました。

 

石田ゆり子さんは、「(役作りにおいて)もし、クリスマスに東京でテロが起こったら、と、どんなに想像しても想像しきれない恐怖を自分の中に落とし込むのがとても大変でした。日々の生活、なにげないことがどれだけ有難いことなのか、というのを逆に感じる作品になるんじゃないかなと思います」と、役についてと作品について、コメントしてくださいました。

 

西島秀俊さんは、「(栃木ロケの)スクランブル交差点のシーンではみんなが全力で深刻な場面を演じなきゃいけない状況で、毎日千人を超えるエキストラのみなさんが、僕らが頭が下がるくらい集中して演技してくださいました。素晴らしいシーンになってるんじゃないかと今からワクワクしています。それからこの映画は群像劇なので、僕がまったく見ていない現場もたくさんあって、どんなシーンになっているのか、とても楽しみです」と映画の完成を期待していらっしゃいました。

 

中村倫也さんは、「原作も、脚本も、読み終わったあとに、『あれ、これは日本国民全員が主役でもあるのかな』という印象があったんです。さきほどから話に出ている、寒い中参加してくださった延べ1万人以上のエキストラの方々だったり、この作品を客席で見た方々だったりが、実は、主人公の一人でもあるのかな、と僕は思いました。そういうふうに楽しんでいただければいいですね」と作品が描こうとしたテーマのひとつを表してくださいました。

 

広瀬アリスさんは、「こんなに時間をかけてじっくり撮影する作品というのはなかなかないので、とても貴重な時間になりましたし、もっと撮影したい!とクランクアップしたあとも思う現場でした。作品自体がすごく面白かったですし、本当に、映画の完成が楽しみです」と現場を思い出すようにおっしゃっていました。

 

井之脇海さんは、「映像もお芝居もすごいことをやっているのに、現場がとてもスムーズで、時間が押した日がなかった印象があります。それだけ集中力をみんなで共有して、いいものを作り上げようという意識が高い現場だったのかなと思いますし、そういった現場に2ヶ月間関われて本当に幸せです」とやはり撮影を振り返ってコメントされていました。

 

勝地涼さんは、「(連続爆弾テロが東京で起こるという設定は)起こってはいけないことだけれど、現実にいま、日本で起きてもおかしくないことなんだと、ふとドキッとさせられましたし、すごくリアルに感じました。『これは戦争だ』というセリフがあるんですけど、戦争を描くというと過去の戦争、第二次世界大戦などを描いたりする作品も多いなか、この作品では現代の戦争というものがすごく伝わるんじゃないかなと思います」と作品全体についても話していらっしゃいました。

 

会見会場に、完成した映像が見たい!という期待感が高まるなか、監督が「今そこにある危機を感じていただけるような作品に仕上げたいと思っています」と力強くコメント。

早く映画を見たくなってしまいますが、公開は来年12月予定。原作を読んでも映画を楽しめるだろう、と佐藤浩市さんお墨付きの本作、待ちきれない方はぜひ、絶賛発売中の河出文庫『サイレント・トーキョー And so this is Xmas』をお手にとってご覧ください!

 

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