お知らせ - お知らせ
「生きるべきか、死ぬべきか」は誤訳だった?──中村芝翫主演『リア王』舞台化でも話題、英国史研究の第一人者による『陰謀と犯罪のシェイクスピア』
石井美樹子
2026.06.22
ハムレットの名台詞として知られる「生きるべきか、死ぬべきか、それが問題だ」。
しかし、この訳が間違っていたとしたら?
『陰謀と犯罪のシェイクスピア』は、英国史研究の第一人者・石井美樹子さんが、四大悲劇『ハムレット』『オセロー』『リア王』『マクベス』ほか計七作品の原文を精緻に読み解き、その真意にせまる一冊です。しかも著者による真訳『リア王』は、この秋、中村芝翫主演で舞台化が決定。シェイクスピアを読み直す絶好のタイミングが訪れています。

本書は、冒頭の見出しからして刺激的。「生きるか、死ぬか」は誤訳だ! ハムレットの“to be or not to be”は、明治期から現在に至るまで「生きるべきか、死ぬべきか」と訳され、ほとんど検証されないまま受け継がれてきました。しかし著者は、原文に忠実に読めば、本来は「存在するか、しないか」を問う言葉ではないかと指摘します。
生死という枠を超えて、ハムレットが本当に直面していた問いとは何だったのか? このように、英国史の研究を土台に、作品の背後にある史実と当時の風俗を読み込み、戯曲に込められたシェイクスピアの真意に迫ろうとする態度こそ、著者による「真訳 シェイクスピア」の真骨頂なのです。
本書は七作品それぞれについて、いまや忘却の彼方に追いやられた史実の事件を掘り起こし、シェイクスピアがそれをいかに戯曲へと昇華させたのかを、スリリングに解き明かしていきます。たとえばパトロンの毒殺事件と『ハムレット』、火薬陰謀事件と『マクベス』。読み進めるうちに、「あの名作は、そんな話だったのか!」という発見が次々と訪れます。

そして2026年9月、新橋演舞場で上演される『リア王』に採用されているのは、ほかでもない石井訳のテキスト(『真訳 シェイクスピア四大悲劇』収録)。歌舞伎俳優・中村芝翫さんが演出家・井上尊晶さんと挑むシェイクスピア劇シリーズの第三弾で、『オセロー』『夏の夜の夢』に続く待望の一作です。
劇場:新橋演舞場
日程:2026年9月6日(日)~22日(火・祝)
詳細:https://www.shochiku.co.jp/play/schedules/detail/202609_enbujo/
蜷川幸雄氏から「新しい見解を発信する勇気を失わないように」と激励を受け続けたという石井さん。その読み解きは、すでに『真訳 シェイクスピア四大悲劇』『真訳 シェイクスピア傑作選』で大きな反響を呼んできました。読者からは「これほどすっきりした訳は初めて」といった声が寄せられ、原文の正確さとアカデミックな背景解説の両立が高く評価されています。
シェイクスピア好きはもちろん、演劇を愛する人、世界史に興味がある人にも。毒殺、謀殺、決闘、反乱――事件の影から立ち上がるシェイクスピアの時代と作品の本質を、ぜひ本書と共に体感してください。
●『陰謀と犯罪のシェイクスピア』もくじ
はじめに
第一章 ハムレットを探して
「生きるか、死ぬか」は誤訳だ!
ハムレットは急進的なプロテスタント
煉獄の亡霊
偽の王――王権はガートルードに!
芝居で王の良心を摑め
『テンペスト』におけるto be, or not to be
毒による死の饗宴
第二章 パトロンが毒殺される――『ハムレット』
禁断の毒殺
宗教戦争
シェイクスピアの父はカトリック
王位継承権保持者ダービー伯爵ファーディナンド
疑惑の的スタンリー家
ヘスケスとは何者か?
ダービー伯爵毒殺される!
魔女に呪い殺された?
セシルの陰謀?――兄殺し
ポローニアスのモデルはスパイの親玉セシル
壮大な鎮魂歌
気が狂うほど嫌っていた少年劇団
第三章 究極の「二枚舌」は誰だ?――『マクベス』
イエズス会の「二枚舌」
中世劇「地獄の征服」
英雄は試みに勝たねばならない
悪魔の二枚舌
マクダフ少年が告げる真実
「二枚舌についての論考」
裏切られた期待
「テロリスト」たちの肖像
存在しないトンネル
セシルの陰謀?――匿名の手紙
大事件の鍵を握る手紙
第四章 デズデモーナの白いハンカチ――『オセロー』
オセローの法螺(ほら)話
聖母マリアの白いハンカチ
苺の模様
「そんなもの、放っておけ」
嫉妬について
ハンカチはいつ考案されたか――テニス・コート事件
アフリカ部族の結婚の風習――血染めのハンカチ
名誉殺人
難解な真実を、シンボルを通して理解する
バーバリー大使
第五章 仰天! 王妃の裁判――『冬物語』
前代未聞の王妃の処刑
嫉妬深い夫がいるのはイタリアだけ
ハーマイオニとキャサリン・オブ・アラゴン
ハーマイオニとアン・ブーリン
白い手のハーマイオニ
経済格差
大航海時代の地理学熱
種の融合による平和――結婚祝歌
第六章 エセックス伯爵の反乱とグローブ座に迫る魔の手――『リチャード二世』
削除された退位の場
退位の場
ほかにもある危険と見なされる箇所
慢心する寵臣
退位の正当性
女王の強靱な精神性
第七章 サウサンプトン伯爵家の殺人事件――『ロミオとジュリエット』
伯爵家の殺人事件
逃亡者
恋愛は命がけ――サウサンプトン伯爵の結婚
幕開きの喧嘩は悲劇の序曲
ロミオは運命の慰みもの
頓挫するローレンス神父の計画
セシルの狙い
第八章 最後の宮廷道化――『リア王』
現代日本社会の映し絵
イギリスの伝統的な宮廷道化の衣装
スコットランドの宮廷道化現る!
まだら服は宮廷道化の記章
道化の鶏冠帽
嵐の場――裸のリア
抉られる眼窩
寄稿 逍遥の「世に在る、世に在らぬ」は日本演劇界の至宝 今井 俊
註
●新刊情報

書名:陰謀と犯罪のシェイクスピア 「真訳シェイクスピア」講義
著者:石井美樹子
仕様:四六判/並製/240ページ
発売⽇:2026年5月26日
税込定価:2,970円(本体2,700円)
ISBN:978-4-309-20947-0
URL:https://www.kawade.co.jp/np/isbn/9784309209470/
※電子書籍の発売予定はありません。























