単行本 - エッセイ

最果タヒ『きみの言い訳は最高の芸術』刊行記念書き下ろしコラム【3】言葉はきみの生中継

きみの言い訳は最高の芸術』刊行記念書き下ろしコラム【全6回の3】
 

言葉はきみの生中継

最果タヒ

言葉はきみの生中継。どんなことでもいいから話してほしい。うまく言えないことをうまく言えないまま、言葉にしてほしい。人と向き合うたびにそんなことを思う。だって、それ以外に人がその人らしく言葉を使う瞬間なんてあるんだろうか。へたくそさが、あいまいさが、きみの細胞なんだと思っている。うまく話せないときほど、言葉の近くにいる感じがする。
人と話すことが好きじゃない。オチも起承転結も、大嫌いだ。それらを求められることも、それらを交換し合うことで交流したつもりになることも、サービスでしかないと思う。そんなのはもはやコミュニケーションではない。だから、おもしろくないこと、意味のわからないことを、だらだらと話してしまう人を見ると、愛されて生きてきたんだなあ、と感動する。そしてそんな人は、わたしが昨日食べたパフェの感想だってだらだらと、聞いてくれるね。
時間を無駄にした、なんて、人に対しては絶対に思いたくない。人間はエンターテイメントになれる。人を楽しませることができる。でも、そうさせない人がいちばん美しいとも思う。楽しさなんて期待して、誰かとみつめあいたくはない。

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著者

最果タヒ

1986年生まれ。詩人・小説家。2006年、現代詩手帖賞を受賞。07年、詩集『グッドモーニング』で中原中也賞を受賞。著書に『死んでしまう系のぼくらに』(詩集)、『星か獣になる季節』(小説)他多数。

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