日本文学

出会い系サイトで 70人と実際に会って その人に合いそうな 本をすすめまくった 一年間のこと を読んだ人に、 花田菜々子がおすすめしたい9冊

菜々子、33歳。職業、書店員。既婚、ただし別居中── 読めば勇気が湧いてくる、衝撃の実録私小説!花田菜々子さんのデビュー作、青春実録私小説『出会い系サイトで70人と実際に会ってその人に合いそうな本をすすめまくった1年間のこと』。多数の共感の声を集め、デビュー作として異例の9刷 37000部を突破、読

やっかいな他者──「関係性マニア」が編み出す人間関係の妙──青山七恵『ブルーハワイ』書評

  そういえば以前インタビューで、青山七恵は自分を「関係性マニアだ」と言っていたな──と、新作短篇集『ブルーハワイ』のページをめくりながら思い出した。収録作六篇はどれも、人間関係の中で生まれる複雑な感情の振動が微細に綴られている。描かれるのは家族や友人といった間柄が多いが、どれも女同士であ

読後に残るのはまごうことなき『義経記』なのである──町田康『ギケイキ② 奈落への飛翔』書評

  町田康『ギケイキ』は、『義経記』の現代語訳というわけではないのだが、だからといって翻案というほど原作から離れているわけでもなく、いうなれば、かなり“盛っている”『義経記』現代語版だ。なにしろ原作の三倍増しぐらいに長い。ところが、読み終わって思い出す『ギケイキ』は、不思議なことにまるっき

あたらしい「日本語文学」の地平──温又柔『空港時光』書評

  イルマ・ラクーザという、一九四六年にチェコスロヴァキア(現スロヴァキア領リマフスカー・ソボタ)に生まれた作家のエッセイ集がこのところ続けて邦訳された。その内の一冊、『もっと、海を』(鳥影社/新本史斉訳)には表紙を開いてすぐに、スカンジナヴィア半島から南は地中海まで、ヨーロッパ全域をカバ

鎮魂の物語──町田康『ギケイキ② 奈落への飛翔』書評

  判官贔屓、という言葉がある。弱者、敗者に必要以上に同情を寄せ感情移入する人間心理を指す。周知のように、この言葉の由来は、我らが九郎判官、すなわち源義経にある。義経は検非違使左衛門尉に任官しており、尉のことを判官というからである。 判官贔屓という言葉が生まれるほど、日本人は義経を愛してき

モテの身体性──片岡義男の小説はいつもいいにおいがする

片岡義男『くわえ煙草とカレーライス』書評  コーヒー、カレーライス、万年筆のインク、玉子サンド。片岡義男の小説はいつもいいにおいがする。いくつも登場する喫茶店は香りに満ちていて、とびきり居心地がよさそうだ。たとえばこんな描写。〈コーヒーをひと口だけ飲んだ彼女は、自分はいま考えごとをするのだ

くっついて、わからなくなる──島田雅彦「絶望キャラメル」書評

 「絶望」、は小説にはよく出てくるかもしれない。「キャラメル」はそこまで小説では見かけないけれど出てこないことはない。でも「絶望」と「キャラメル」の組み合わせは、たぶん初めて。くっつけて「絶望キャラメル」にすると、絶望も、キャラメルも、ちょっと、おかしくなって、よくわからなくなる。 そんな

落語とハムレットの「世界」で ── 橋本治『おいぼれハムレット』書評

 座布団に正座した落語家はパーパー言いながら、何もないからこそ何でも生み出すことができる。つじつまは客が合わせる。例えば、頭上から桜の木が生えた男。ここまでは誰でも絵を浮かべられる。ただ、これが、頭上の桜を根こそぎ引っこ抜かれてできた巨大な穴が池となり、屋形船だなんだでどんちゃん騒ぎ、その騒音でノイ

世界でひとつだけの花──山内マリコ『選んだ孤独はよい孤独』書評

 孤独はカッコいい。なんだかハードボイルドだ。闇を背負っている雰囲気があるし、それだけですごい特別な存在っていう感じがする。思春期はとくに孤独を好みがちだけど、思春期マインドにあふれた中年のぼくも、いまだ孤独の大ファンだ。十代の頃、孤独に酔いたいがために家出して、駅前で物乞いをしたことがある。あれは

奴隷国だ! 「にっほん」には奴隷しかいない!  ーー笙野頼子『ウラミズモ奴隷選挙』発売迫る!!

奴隷国だ! 「にっほん」には選挙権のある奴隷しかいない!2003年『水晶内制度』、2006年「だいにっほん」シリーズ、2016年『ひょうすべの国』――その予見性で現代世界文学読者を戦慄させ、とうとうカサンドラと呼ばれてしまった作家・笙野頼子が、前作を超えて更なる追撃へ!日本奴隷制社会への最も過激な告

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