単行本 - 文藝

[書き下ろし短篇小説]ウラミズモ、今ここに

笙野頼子さんより短篇小説をご寄稿いただきました。
作品内で予告されている新作小説は「文藝」で発表予定です。
こちらの掲載も楽しみにお待ちください。(編集部I)

 









笙野です。ごぶさたしています。慢性腎不全の老猫の看病をしつつ、TPP警告小説『ひょうすべの国』の続篇「ウラミズモ奴隷選挙」を書いています。舞台は女人国のウラミズモです。旧茨城県全域を領土とするこの女だけの国は、隣の痴漢大国にっほんがTPPで地獄に落ちてから後も、一貫して保護貿易と内需拡大を守ってその結果、数字は貧相でも国民生活は安泰、食料の安全も福祉も確保。ついにはにっほんの債権国にもなってしまったという「外交と経済に無知な」格差なき「三等」国です。

主人公は、にっほんからこのウラミズモに移民してきたひとりの女性、移民の出世頭である公務員市川房代。苦学して女人国の観光名物男性保護牧場の役人として採用され、にっほんが債務ごとウラミズモに売り飛ばした痴漢強姦犯男性達を、生きたまま観光用に展示する仕事やその飼育等をしてきました。そんな定年間近の彼女の周辺に、にっほんからの移民少女や留学生、火星人少女遊廓からの手紙、少女カップルの「恋話」が交錯します。これは、出来る範囲で最後までTPPに反対していきたい。行ける人には選挙に行ってほしい。そう願いつつ書き進めている作品です。

さて、『ひょうすべの国』刊行から一年半、無論もっと前から反対しつづけていたTPPですが、今麻生の醜い発言で注目されていますね。しかしとうとう今期国会で発効に向けての足掛かりが出来てしまうかもしれないので心配しています。

というかこのまま森友で騒ぎ続けてほしい。それで国会が遅れたら人間は巨大な人喰い企業から喰われずに生き延びる事が出来るかもしれないと祈る日々です。

無論最後まで希望は捨てません。偏向報道はずっと何とかあきらめさせようとしてずーっと「もう決まったから」ばっかり言ってきているのでね、そしてこれは逆らう以外の選択肢はないほどの事態でもあるので。非力だけど私も最後まで少しでも。載るかどうか判らないけど某紙に警告を寄稿したり、昨年末は内閣府のTPP一般説明会にも行ってきました。専門外だけどマイクを持ち一番恐ろしいあのISDS条項批判をした。だが対する官僚はまさにいい口だけ、政府はそんなこといっていない、ただこう言っただけ、だのとまさにひょうすべの応対(録音は専門家に聞いてもらいました)。その時の私の質問の引用はサンケイ新聞にあくまでも一般市民の「突き上げ」として、載っておりました。なんとサンケイなんですね、しかも総理はこのようなISDSについての質問に答えるべきってその、記事に書いてあった。にもかかわらず、「お友達」サンケイのお願いさえも、総理は無視したままの今期国会です。

ていうか、そもそも十二月のこの説明会、反対派の専門家達が集まれない日にわざわざ設定してあったんですねえ。いつも、だまし討ち、だまし討ちで。そんな中、林業、農業の関係者が不安をのべると、予算つけますよ予算、と言い返す官僚。なんかもう本末転倒だね? だってそんなのグローバル企業から文句言われたらそれで終わりのはず。ていうか言った? 書いた? 偽造の国だもの。

 

帰り路にて、せっかく東京へ来たのだからと珍しく外食千五百円の寿司を食べた。でも食べていて急に怖くなった。ふと思ったから。首相が今、お友達と食べているマグロの寿司、あの赤はもしかしたら人民の血じゃないのか。嘘吐きの口中でとろけている大トロのあぶら、あれは人民の膏ではないかと。そう、人民の膏血、すると私の自前寿司十個千五百円がいきなり十人の顔になってケラケラと笑うのだ。やがてその寿司に羽が生えて飛び始めたのだ折角のごちそうが……。

 

はは、「たかが森友八億円」さえ偽造する連中が、今から改憲と国際条約にハンコつくのかな? そして大本営はいつも「中立」のままなんだね?

そもそもTPPってもう決まったもう決まったと言いながら、大筋合意の後でだって米国は抜けた。他国の民は報道でかなり知っていて選挙等で反対し続けることが出来た。しかし日本だけはマスコミが危険性を隠蔽して、警告したタレントのレギュラーを下ろしたり、「もう決まった」から逆らっても無駄、と何度も何度も、思わせてきた。

そして今さら、とうとう、今期国会、そろそろ手遅れ気味になってこそ報道している連中。ふん、そんなので得意になって「書いてますけど」とか自慢されてもねえ。「今なら楽に断れる」って初期の間に「地獄が来るぞ」って書きもしないでね。ところがついに民ももう抵抗出来ないだろうとなったらでかでかと「報道の自由を駆使」している。

とどめ麻生無双は、麻生多草wwwww、そもそもそんな忖度をさせた側ではないか。「載ってない」という誤認も醜いが、TPPの地獄を告発させなかったのは権力の側。それで今更報道しろというのが一番醜い。

改憲森友の影で、民は売られる。医療なし、水道代五倍、薬代倍、新薬高価なまま、後々は国境のない医師団までも苦しみぬくかもしれぬ。当然、戦争はさせられるし憲法はぶっこわされる。ばかりか日本中が海外から持ってきた核廃棄物の置き場にされても文句言えなくなる。だって憲法よりISDSの方が強いからね。TPPは今凍結している条項がどうなるか判らないだけではない。日米FTAやRCEP、EPAと連動することで地獄は無限になる。さらにまだ決まってもいないEPAの関連法案まで通すとしたら……著作権が七十年になれば青空文庫からかなり消える。は? 経済の代案? 全部断るか流せば良かったの。それで地球人類が救われたのだ。

TPPは「変わった」けれど地獄のISDS条項は残ったまま、他国はなんとか対応しているけど日本はまったく放置したままだ。その他もどんどん作り込まれている。ね、ね、どうかどうか無関心にならないで! 焦ってて文章やや乱暴ですけれども。そしてできることは少ないし仕事のついでだけどでも最後まで抵抗するから。

寄稿出ると良いけどなー、そして、次を書いてます。少数精鋭読者の方々どうぞどうぞもう少しお待ちください。潰せ今期国会、倒せ人喰い内閣! 核廃棄物はいらない! 戦争反対!(ウラミズモ白梅高等学院の校歌を作るついでにデモ歌詞も作ったけど誰も歌わないだろうし、ベタすぎる……*註

 

*註

青いバラ 燃える海 君を求め/果てしない旅の果て ここに来た/冬を生き延び 夜も越えて/春に待ちかねる 立ち上がる/君の名は自由 われら平等/今は力あわせ安倍を倒せwww【ホルスト「木星」のメロディで】

 

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著者

笙野頼子

1956年生まれ。81年「極楽」で群像新人賞を受賞。「なにもしてない」で野間文芸新人賞、「二百回忌」で三島賞、「タイムスリップ・コンビナート」で芥川賞、「幽界森娘異聞」で泉鏡花賞、「金毘羅」で伊藤整文学賞を受賞。

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