文芸季評 山本貴光「文態百版」:2018年9月〜2018年11月 第4回
山本貴光
初出=「文藝」2019春季号(第1回/第2回/第3回) 1 遊びが足りない?本欄は、季節に一度、最も遅れてやってくる文芸時評として、二〇一八年の春に始まった。これまで三度書いてきた。今回で一年が巡るということもあり、ここまでの感想を述べる。率直に申せば少々つらい。ヤブカラボーにそんなことを
2019.03.25文藝
山本貴光
初出=「文藝」2019春季号(第1回/第2回/第3回) 1 遊びが足りない?本欄は、季節に一度、最も遅れてやってくる文芸時評として、二〇一八年の春に始まった。これまで三度書いてきた。今回で一年が巡るということもあり、ここまでの感想を述べる。率直に申せば少々つらい。ヤブカラボーにそんなことを
2019.03.25田中和生
岡山からはじまって熊谷、大津、遠野、お台場、函館、青梅、秩父、横浜、下北沢とつづき、松江で終わる。十二章からなるこの作品の、主な舞台である。関東地方が中心だが、南は中国地方から北は北海道まで、これほど多彩な場所が次々と描かれる作品は、日本の近代文学史上でもちょっとほかに思いつかない。 しかもその多
2019.02.27山本貴光
初出=「文藝」2018年冬季号(第1回/第2回) 1 技術今日の文学は技術を書いていなければ十分ではない。かつてそのような意味のことを述べた作家がいた。なぜ技術かといえば、事実として現在私たちが生きている環境の少なからぬ部分が技術によってできているからだ。居住、食事、移動、通信、労働、娯楽、創作、研
2018.12.03奴隷国だ! 「にっほん」には選挙権のある奴隷しかいない!2003年『水晶内制度』、2006年「だいにっほん」シリーズ、2016年『ひょうすべの国』――その予見性で現代世界文学読者を戦慄させ、とうとうカサンドラと呼ばれてしまった作家・笙野頼子が、前作を超えて更なる追撃へ!日本奴隷制社会への最も過激な告
2018.09.26山本貴光
初出=「文藝」2018年秋季号(第1回はこちら) 1 全体の傾向文芸時評はなにを対象とすればよいか。その境界線を自明視せず、考えながら探ってゆこう。前回、そのように述べた。ただし、いきなりあれもこれもと見るわけにはいかないので、まずはいわゆる五大文芸誌「群像」「新潮」「すばる」「文學界」
2018.08.01「は?好きな季節?そんなのねぇよ!」とは言えず、 仕方なく消去法で秋を選んできた自分に突きささった。 町屋良平が好きすぎる。──尾崎世界観(クリープハイプ) 昨日7月18日、第159回芥川賞・直木賞受賞作が発表されました。芥川賞は高橋弘希さん「送り火」、直木賞は島本理生さん『ファーストラヴ
2018.07.19山本貴光
山本貴光による文芸季評「文態百版」2017年12月〜2018年2月(その1)からの続き ◎初出=「文藝」2018年夏季号 5.全体の傾向というわけで、「群像」「新潮」「すばる」「文學界」「文藝」の五誌について、二〇一八年一月号、二月号、三月号を検討対象とする。このうち「文藝」だけは季刊誌
2018.06.05山本貴光
初出=「文藝」2018年秋季号1.なぜいま文芸時評か これからこの場をお借りして文芸時評を始める。「文藝」といえば一九三三年創刊の古い歴史をもつ文芸誌(編集主任=上林暁、改造社)。そのような場所で、もとより文芸の専門家ではない身としてはおこがましい限りだけれどそこはそれ。土地に不慣れな者の
2018.06.05笙野頼子
笙野頼子さんより短篇小説をご寄稿いただきました。 作品内で予告されている新作小説は「文藝」で発表予定です。 こちらの掲載も楽しみにお待ちください。(編集部I) /笙野です。ごぶさたしています。慢性腎不全の老猫の看病をしつつ、TPP警告小説『ひょうすべの国』の続篇「ウラミズモ奴隷選挙」を書いています。
2018.04.16レビュアー:戌井昭人
自分は、家族や自身をどこまで晒すことができるのか? 植本さんの本を読むといつも考えてしまう。洋式便所に溜まっている水を泡立たせながら小便をするのが密かな楽しみだったり、父親が一度蒸発したことがあるのだが、どこまで晒せるのだろう。父の蒸発は、拙著で小説にしたけれど、あくまで小説なので、そのまま書いてい
2018.03.22