単行本 - 日本文学

萩尾望都が「SF作家・木下司」名義で発表した幻のSF小説、初単行本化!――『ピアリス』

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萩尾望都が別名義・木下司として発表した幻のSF小説『ピアリス』が発売されました。

この書籍の発売をもって「木下司=萩尾望都」であることを初告白。

巻末掲載のインタビューで、その事実をご本人の言葉によって鮮明に明かされています。

 

B 『ピアリス』収録「特別企画 萩尾望都インタビュー」扉ページ

 

『ピアリス』の初出は、雑誌「The Sneaker Special」(角川書店/※1995年廃刊)。1994年春号・夏号・秋号・冬号に発表。全4回連載されたもので、萩尾望都という名前は伏せ、木下司という別名義で発表されました。

なぜ萩尾望都ではなくペンネームを使って発表したかは『ピアリス』の巻末インタビューを是非お読みください。

 

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第1回カラー扉 「The Sneaker Special」1994年春号

 

小説は木下司という謎の作家が執筆したということになっているものの、その挿し絵は萩尾望都自身が担当しており、毎回見開きのカラーイラストと多数のモノクロ挿し絵が掲載されていることが話題を呼び、その作品世界の面白さも相まって、ファンの間でも大いに話題となっていました。

 

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ところが、雑誌の廃刊に伴い連載は4回で終了。「木下司=萩尾望都」という事実が隠されたまま、20年以上単行本になっておらず、この作品を読むこと自体難しい状況が続いていました。

 

月日は流れ、2016年春、東京・吉祥寺美術館にて大盛況で終了した「萩尾望都 SF原画展」では『ピアリス』の原画を多数展示。

美麗イラストを目にしたファンから「読みたい!」というリクエストが多数寄せられ、今回の発売、そして「木下司=萩尾望都」であることが明らかにされる運びとなりました。

 

本書には口絵カラー8ページ含む、美しい挿し絵イラストも40点掲載。

萩尾望都の圧倒的SF世界を堪能できる一冊となっています。

後のSF傑作マンガ『バルバラ異界』にも呼応する作品かと思われます。

目印は、燃えているかのような赤い表紙です。

書店で見かけたらぜひ手に取ってみてください!

 

DSC_4617

 

また、「萩尾望都 SF原画展」は、2017年夏から待望の全国巡回もスタート!

『ピアリス』掲載のイラストも全点展示されます。

現時点で2017年7月から2018年5月まで、新潟・兵庫・静岡・福岡での開催が決定しています。

萩尾望都の貴重な400点ものSF原画をぜひ観にきてください。お待ちしています。

 

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【2017年 開催スケジュール詳細】

 

  • 新潟会場

新潟市マンガ・アニメ情報館

新潟県新潟市中央区八千代2-5-7 万代シテイBP2・1F

会期:2017年7月15日(土)~9月3日(日)

 

  • 兵庫会場

神戸ゆかりの美術館

兵庫県神戸市東灘区向洋町中2-9-1

会期:2017年9月9日(土)~11月5日(日)

 

  • 静岡会場

佐野美術館

静岡県三島市中田町1-43

会期:2017年11月11日(土)~12月23日(土)

 

「萩尾望都 SF原画展」公式サイト

http://hagiomoto-sf.com/

 

(編集部A)

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