文芸季評 山本貴光「文態百版」:2018年12月~2019年3月 女の地獄巡り・言語・技術的無意識
山本貴光
1 評する者が評される文章を読み始める。書き手の言葉の調子と、読み手の意識の状態とは大きさと回転速度の違う二つの歯車のようだ。はじめはどこで接し合えばよいか分からず、それでも読み進めるうちにやがて眼や意識が文章に慣れて歯車がかみ合いぐんぐん先へ運ばれていくこともあれば、どこまで行ってもちぐはぐでガタ
2019.04.17日本文学
山本貴光
1 評する者が評される文章を読み始める。書き手の言葉の調子と、読み手の意識の状態とは大きさと回転速度の違う二つの歯車のようだ。はじめはどこで接し合えばよいか分からず、それでも読み進めるうちにやがて眼や意識が文章に慣れて歯車がかみ合いぐんぐん先へ運ばれていくこともあれば、どこまで行ってもちぐはぐでガタ
2019.04.17評者・東山彰良
私の信念のひとつに、「想像しうる悪いことは、現実には起こらない」というのがある。たとえば飛行機に乗るときには、敢えて墜落について想像をたくましくする。そうすれば、私が搭乗した飛行機はぜったいに落ちないというわけだ。根拠はない。しかし、奇妙な確信めいたものはある。だってそうだろう。最悪なことは、私た
2019.03.25山本貴光
初出=「文藝」2019春季号(第1回/第2回/第3回) 1 遊びが足りない?本欄は、季節に一度、最も遅れてやってくる文芸時評として、二〇一八年の春に始まった。これまで三度書いてきた。今回で一年が巡るということもあり、ここまでの感想を述べる。率直に申せば少々つらい。ヤブカラボーにそんなことを
2019.03.25田中和生
岡山からはじまって熊谷、大津、遠野、お台場、函館、青梅、秩父、横浜、下北沢とつづき、松江で終わる。十二章からなるこの作品の、主な舞台である。関東地方が中心だが、南は中国地方から北は北海道まで、これほど多彩な場所が次々と描かれる作品は、日本の近代文学史上でもちょっとほかに思いつかない。 しかもその多
2019.02.27写真:濱田英明2019年1月11日(金)、森見登美彦さんを一冊まるごと総特集した『文藝別冊 総特集 森見登美彦』が、満を持して発売となりました。森見さんの単行本未収録小説や5万字ロングインタビュー、書下ろし自作解説エッセイ、特別対談など、ファン必携・大充実の一冊です。この発売を記念して、本誌の感想を
2019.01.11山本貴光
初出=「文藝」2018年冬季号(第1回/第2回) 1 技術今日の文学は技術を書いていなければ十分ではない。かつてそのような意味のことを述べた作家がいた。なぜ技術かといえば、事実として現在私たちが生きている環境の少なからぬ部分が技術によってできているからだ。居住、食事、移動、通信、労働、娯楽、創作、研
2018.12.03今日も、平和な1日が 終わっていく はずだった のに。 撮ってはいけない写真、剥がしてはいけないシール、見てはいけないURL、曲がってはいけない路地、探してはいけない場所、思い出してはいけないモノ・・・読んだら二度と眠れない、怖すぎて面白すぎる、13の怪異の物語。 11月26日発売予定。乞うご期待!
2018.11.16菅野彰
宮城県の海のある街に暮らす高校生の平良。もうすぐ16歳の誕生日を迎える彼は、共に暮らす極端に若く見える眞宙が実の父親ではないと気づきながらも、かたわらに在り続けることを強く望んでいた。眞宙と平良の本当の関係は?そして平良の選んだ道とはーー? 宮城県仙台市の駅は、新幹線が通ることもあって本当に都会だ。
2018.11.13菅野彰
宮城県の海のある街に暮らす高校生の平良。もうすぐ16歳の誕生日を迎える彼は、共に暮らす極端に若く見える眞宙が実の父親ではないと気づきながらも、かたわらに在り続けることを強く望んでいた。眞宙と平良の本当の関係は?そして平良の選んだ道とはーー? 本当は今日、平良はこの少女とセックスをしてみようと思ってい
2018.11.09宮城県の海のある街に暮らす高校生の平良。もうすぐ16歳の誕生日を迎える彼は、共に暮らす極端に若く見える眞宙が実の父親ではないと気づきながらも、かたわらに在り続けることを強く望んでいた。眞宙と平良の本当の関係は?そして平良の選んだ道とはーー? 十二月二十五日クリスマス当日の三歳の誕生日、三
2018.11.06