単行本 - 日本文学
「梅ちゃん先生」「お迎えデス。」「結婚できない男」など、数々の大ヒットドラマを生み出してきた脚本家がおくる渾身の社会派エンターテインメント刊行!――尾崎将也『ビンボーの女王』
2017.08.28
尾崎さんは1992年に「屋根の上の花火」でフジテレビヤングシナリオ大賞を受賞。脚本家デビューを果たして以来、数々のドラマをヒットに導き、ドラマファンを魅了し続けてきました。その手腕は原作の小説や漫画があるものにとどまらず、オリジナルストーリーの作品でもいかんなく発揮され、第一線で活躍し続けています。
そんな尾崎さんの「ストーリーテラー」としての才能はさらに発展し、2010年には映画監督デビュー、さらに今夏、門脇麦さん主演の映画「世界は今日から君のもの」が絶賛公開されています。http://sekakimi.com/
そしてついに「脚本や映画にまつわるさまざまな制約をこえて、面白い話を紡ぎたい!」という尾崎さんの想いが「小説」という形に結実しました。
本作の主人公・麻衣子はどこにでもいる普通の女の子。
ところがちょっとしたきっかけで職を失い、家を失い、貯金まで失って、「貧困女子」に転がり落ちていきます。単身女性の3人に1人が「貧困」と言われるいまの日本では、本当に身近な問題です。
しかし尾崎さんは、重くなりがちな社会問題を痛快なエンターテインメントに仕上げました。
無いもの尽くしの麻衣子ですが、唯一失わないのが「前向きさ」です。明日の食事にも事欠く有様になっても、どこかに突破口がないか探し続けるのですが、そんな彼女だからこそ、思わぬところから道は開けていくのでした。
寝泊まりしていたネットカフェで立てこもり事件が発生し麻衣子は人質になってしまいます。SNSを使ってコメントを発表するとフォロワーが激増し、麻衣子はいちやく「日本一有名な貧困女子」になっていきます。
テレビに出演させようとする元上司や、マネージャー役をかってでてくるバイト仲間、そして世間の応援とバッシング。麻衣子は当初、この展開に困惑し、状況はさらに悪化していくように思えるのですが……
さまざまなトラブルを乗り越えて、麻衣子が全国民にむけて見つけた一発逆転の答えとは!?
これまでの尾崎さんのオリジナル作品にも共通しているように、主人公・麻衣子は尾崎さん自身の投影でしょう。「そのまま」ではないものの、一部を膨らませたキャラクターであると思います。
目前に迫った問題に必死にもがき、なんとか自分なりの答えを見つけていく。主人公への温かな視線がキャラクターの魅力となっていき、読者はいつしか麻衣子の大ファンになっているはずです!
手持ちのカードは少ないけれど、最後の一枚まで何が起きるか分からない。
そんな「希望」に満ち溢れた尾崎さん渾身の小説デビュー作。
麻衣子が見つけた痛快な回答がなんなのか、ぜひ皆さんの目で確かめてみてください!
(編集部N)