単行本 - 日本文学

中学生、高校生が超共感! 大感動の感想がたくさん! 16歳文藝賞優秀作『星に帰れよ』

第57回文藝賞優秀作受賞者は新胡桃(あらた・くるみ)さん。16歳の高校2年生です。文藝賞史上2番目に若い受賞者となります。受賞作『星に帰れよ』で描かれるのは、作者と同じ16歳の高校生3人の世界。
家庭に問題を抱えながらも、クラスでは明るい「変わり者」キャラとして振る舞う、「モルヒネ」というあだ名の女の子。その親友で美人の麻優(まゆ)。その麻優に恋するサッカー少年・真柴(ましば)。夜の公園で、麻優への告白の練習をしているところをモルヒネに見られた真柴が、翌日思いがけず、その麻優から告白されます。しかし麻優は「私のこと好きっぽいから」という理由で告白してきたらしく、真柴の名前さえあやふやな様子なのですが──。冒頭試し読みはこちら。

文藝賞の選考委員からは、「自意識の中に逃げ込まず、戦う主人公と著者の姿勢に胸打たれた」(島本理生氏)「時代は変わった。対人関係における意識の鋭敏さ、自己の客観視の強さに驚かされた」(穂村弘氏)、と称賛されています。

16歳という若さでデビューすることになった新さん。
同じ世代の中高生から、自分たちが生きる世界と同じ高校生の世界を描いた本作にたくさんの感想が届きました! 

 

いつもどこかで感じていた、それでいて言語化できずにいた違和感が「モルヒネ」の言葉となって書かれていて、胸を突かれるような思いがした。
みみずく(渋谷教育学園渋谷高等学校 高校2年生 17歳)

 

青年期は複雑だ。自分の核となるものが出来たと思ったらすぐに崩壊し、些細な出来事が傷跡を深く残して違う自分が出来上がっていく。正解のない日々をもがきながら生きていく。友人関係も不安定で、他人の目ばかり気にしてしまう。こんな日々にもいつか終わりが来て、「あの頃は懐かしかったね」なんて言葉で括られて、抱いていた甘酸っぱい感情もどうしようもないもどかしさも、もう二度と思い出すことなく思い出の箱に閉じ込められてしまうのだろうか。あまりにも生き生きと、そして苦しくもがく高校生三人を中心に展開される『星に帰れよ』は、単なる学園小説だとまとめることが出来なかった。ページをめくる度に今の自分と人物が重なる。
トゥール・ポワティエ(渋谷教育学園渋谷高等学校 高校1年 16歳)

 

おもしろい。というよりも考えさせられる。という本だなと、私は思います。学校というせまい世界でそれぞれが役を演じているような感じが同じ学生として共感できるなと思います。
月詠み(神戸市立本多聞中学校 中学3年生 15歳)

 

私が学校生活を送っている中で、抱える悩みや葛藤をこの本が代弁してくれた。
読んでから少しだけその気持ちがスッキリした。
(松本明澄 山陽学園高等学校 高校2年生 16歳)

 

とてもおもしろく、何回読みかえしてもおもしろかったです。告白のシーンでドキドキしましたが、色々まちがえていて、すごくおもしろい展開になっていくのではないかと思ってドキドキがワクワクに変わりました。
 このシーンも好きですが、いちばん気に入ったシーンはモルヒネと真柴が公園で話している所です。モルヒネが自分の正義をしっかりと持っていて、少し意外な気も。あたり前かなという気もして、不思議な気持ちになりました。話が予測不能になっていて、止まらなくなりました。
NO BOOK NO LIFE (神戸市立本多聞中学校 中学3年生 14歳)

 

この小説は私にとって見聞きして心地よい範囲や常識の外にあったので、抵抗や異物感があった。特に、痛いところを突いてくるような文章やセリフが頻繁にあり、グサグサとはこなかったがザラザラした。題名について、最初に見たとき、「よ」は呼びかけのように感じたが、読み終わってからは命令など強い調子の「よ」だと思った。また、モルヒネが小テストでいつも低い点数を取っていたのは単に勉強してないだけなのか、それともわざと間違えているのか疑問に思った。
R(浦和第一女子高等学校 高校2年生 17歳)

 

相手がどんな人かを自分の中で無意識につくってしまっていると気づかされた。どんな一面を知っても変わらない自分でいてあげる事が、親友だと思った。
たとえ親友であっても他人である事には変わりなく、変化していく周りと変わらない自分にもどかしさを抱くモルヒネが私自身と重ねて読むことができた。
あやか(埼玉県立大宮南高等学校 高校1年生 16歳)

 

「人間」というものについて考えさせられる本でした。
人の考え方や性格、個性は違うっていうけど、改めてその通りだなって思いました。私から見て、完璧だなって思っている子にも誰にも言ってない秘密があったり、実はそんなことなかったりするのかなと思いました。星の王子様の本の「いちばん大切なことは目に見えない」という一節がこのお話と強く繋がっていると感じました。少し話が難しく、一回目読み終わった時はあまり意味が分からなかったけど、もう一度読み直して見ると、話の底深さに気づき、驚きました。
アヤタカ(山陽学園高等学校 高校1年生 16歳)

 

私達学生の普段の生活の中でありそうな既視感さえ覚える場面と、高校に行ったらあるかもしれないけど、私とは無縁だ、と感じる場面とのバランスが良いと思いました。特に、同級生が使っている言葉遣いがあると馴染みやすく、現在も高校2年生だからこそだと感じました。そして、モルヒネの現代社会や、級友との関係に対する考え方には共感できるものもあり、自分の気持ちを表してくれたことが嬉しかったです。
ウメノヒメ(東京学芸大学附属世田谷中学校 中学3年生 14歳)

 

複雑なストーリーの構成のように思われたが、内容は一つの筋に沿っていていろいろなカメラから様子を見ているようで一種のワクワク感を感じることができました。リアルな人物像とストーリーで自身に重ねてしまうような親近感あふれる作品だと思いました。題名の「星に帰れよ」はモルヒネの父親の回想部からモルヒネの気持ちなのかと思いました。「星」とは同族が暮らしている平和な馴れ合いの世界。そして墓場だと思っている彼女にとって「星に帰れよ」とは理解し合うことを放棄した人々や理解できなかった自分に対する気持ちなのかと思いました。
おにぎり(浦和第一女子高等学校 高校1年生 16歳)

 

みんなが未熟でそれぞれの価値を持っているからこそ、3人の登場人物が愛しく思えました。私は必死で大人っぽく振舞っていますが他の人から見たらまだまだ幼いところがあるのかもしれないと考えさせられました。今を大切にしたいと思いました。
カピバラ(浦和第一女子高等学校 高校2年生 17歳)

 

とても今の時代らしい話だと思いました。ネットが急速にふきゅうする世の中。新しい物への「しゅうちゃく」や「いぞん」のようなものが人の心の底や裏のほうにあるドロドロとしたものが「モルヒネ」という、薬の名とともにより強く重くプレッシャーとしてのしかかるように伝えられているように感じました。人の裏表の恐ろしさを改めて感じられました。
少し難しかったけれど読む回数を重ねるごとに「そうだったのか!」という発見がなんどもあり、物語にのめりこめる楽しさがあり、それと同時に理想の自分であることは簡単なことではないと思いました。
くきわかめ(神戸市立本多聞中学校 中学2年生 14歳)

 

周囲から望まれる自分でいるのは苦しい-。それでも周囲から望まれた自分でありたい、そう思い悩んでいる「モルヒネ」は案外、身近にいるのかもしれない。きっとこの読者の多くは「真柴」なんだと思う。でもみんな少しずつ「モルヒネ」の部分があると思った。「マユ」のように確固たる自分を持っている人はきっと少ない。
自分の中の「絶対」「軸」を愚直に守ろうと足掻く「モルヒネ」が愛しく感じた。
「モルヒネ」のように生きたい。
ソウイチ(埼玉県立大宮高等学校 高校2年生 17歳)

 

自分と同じ年の方がこの話を書いているということに、純粋に驚くと同時に自分も変わらなくてはと思わされました。表現力が豊かでテンポも良く読みやすかったです。2代目モルヒネの考え方が好きです。「だから私は一番軽く、それでいて醒めていなければいけないのに」「おそらく、解釈されるのは一番の屈辱だった」一方で、モルヒネがマユや真柴にキレるところは難しいなと思いました。彼らも同じように考えているのではないか、と。それを見て見ぬふりをしているのが、モルヒネにとっては納得できないポイントだったのかもしれませんが。会話部分の登場人物の語彙力の高さに圧倒されました。
たいやき(渋谷教育学園渋谷高等学校 高校2年生 17歳)

 

 描かれている時間の尺で見ても、登場人物がこの物語の中でどれだけ成長したのかで見ても、短いスパンの話なのに、とても濃密で、強烈な色のある作品でした。登場人物の考えや行動が、速いテンポで描かれ、変化が目まぐるしく、勢いのある作品だと思いました。この作品は、自分自身の価値観や品格を問われる描写が多くて、青春の未熟さや熱さのようなものが感じられました。
ならちゃん(東京学芸大学附属世田谷中学校 中学3年生 14歳)

 

この本の、世界を斜めから見ているような、ちょっとひねくれたモルヒネの考え方が私は好きです。共感できるし、深く考えられるし、何よりきれい事ばかりじゃないところが、ありのままで、心にひびきました。学園物語、というところもポイントで、登場人物の心情が想像しやすく、物語に入り込みやすかったです。年の近い子が、私とは違う考えを持っている様子が面白く、予想できない展開にわくわくしました。短編なので読みやすく、ふわっとかげろうのように終わるラストもすてきでした。
ゆかり(神戸市立本多聞中学校 中学2年生 14歳)

 

少し内容がむずかしかった。モルヒネのお父さんの話が興味深かった。「人々は他人を理解する事をやめた」という、モルヒネのお父さんのセリフがモルヒネと同じく、悲しいと思ったのと同時に、少し納得もした。モルヒネのお父さんの言うことは現実を正しく言ってると思った。でも、他人と理解し合ってる人もいると思う。
リードブックマスター(神戸市立本多聞中学校 中学2年生 14歳)

 

最初のマユの印象が途中でモルヒネの「彼女は魔女だから」の一言で一変し、筆者に裏切られたような気持になりました。けれども普段は本音を言うことのないモルヒネが真柴に本気で当たり、自分の弱さや憎さのようなものをぶちまけたシーンでは何となく予想していた展開ではあったものの、ジーンときました。(青春だなあ)。個人的にですがモルヒネと真柴がくっついて欲しいなっていうのはあります。
ルート互除法(浦和第一女子高等学校 高校1年生 16歳)

 

多くの人が仮面をかぶって生活していることが多いこの現代の学生の様子がリアルに描かれていると思いました。浅いつながりの中を過ごすマユ、「価値観が違うからこの人とはあわない」ときりすてて狭い世界で暮らしている真柴、キャラにこだわってネタキャラでいることを大切にしているモルヒネ。そうする理由は1人1人違えど現実にたくさんいる人種だと思う。その中で、キャラに違和感を感じながらも、キャラでいようとし、キャラのフィルターをかけた目で見られることを拒否するモルヒネはとても印象的でした。勝手にモルヒネやマユの中に立ち入って知っても知らなくても変わらない、と実責任奈顔をしている真柴が一番現代の高校生を表しているような気がしました。葛藤するモルヒネがよく描かれて共感できるところがたくさんあって面白かったです。
中井涼愛(浦和第一女子高等学校 高校2年生 16歳)

 

本作を読んで中高生のリアルな人間関係と非日常的なストーリーが合わさっていて、おもしろかった。
「モルヒネ」の背景にある家族の問題やパパ活をするマユ、GPSをつけてまでマユを助けたいと自分に酔っている真柴といった、自分の周りでは想像できないがあるかもしれないギリギリが描かれていることが印象的だった。また誰しも学校にいる姿が本当だとは限らないことを象徴している「モルヒネ」はすごく共感できるキャラクターだと思う。一方で40ページということもあってか、展開が急速に進み、時間軸、視点が移り変わることで少しわかりずらいところもあり、私はそこまで好きになることはできなかった。マユの言動が共感できず好きになれない。
乃蒼(浦和第一女子高等学校 高校1年生 16歳)

 

人物1人1人の感情が生々しいというのが第一印象です。それは、現実味を孕み、もう1つの世界が存在すると感じさせてくれました。偏見を含んでいると思いますが、パパ活や地下アイドルの追っかけといった普段生活する上で、身近に感じる事がないであろう行動が物語の中で重なり合う事で、世界の存在を裏付けていると考えました。自分は、相互理解と感情に注目してみました。この2点は、人を構成する要素の中で非常に難しいものだと考えています。それを表現している言葉が、読み手に伝えるだけでなく、登場人物の個性としても成り立たせているために、生きている、創作されたモノではないと感じ、つい没頭してしまう程素晴らしい作品だと思いました。
天戯深憂(埼玉県立大宮南高等学校 高校2年生 17歳)

 

真柴とモルヒネの二人の考えが本当に反対で面白かったです。書き手の視点が真柴とモルヒネの間でコロコロ変わってて、すごいと思いました。
モルヒネが真柴と公園で会ってから、今まで演じていた部分がどんどん崩れてきて、少し怖かったです。ですが、モルヒネは姉のようにならないと感じたので、今度どういう風に生きていくのか、とても気になりました。
真柴の「好き」が簡単に終わってしまって、少しショックでしたが、ガムとの今後はとても楽しみです。
天空寺なごみ(埼玉県立大宮南高等学校 高校1年生 16歳)

 

相手との衝突を避けるため、自分の感情を押し殺して、諦める事が、最善だと考えてきましたが、そのままで良いのではないかと思えました。
女子高生S(山陽学園高等学校 高校3年生 17歳)

 

ものすごくゆがんでいる関係だなあと思いました。
価値観の違いにより、関係が崩れることがあるのは知っていたけど、まさかここまでこじれるとは思ってもいなかったので、頭をどん器でなぐられたかのようなしょうげきがあり、すごいなあと思いました。読み終わったあとの余韻がすごくて、少しの間けいたいもさわらず、ボーっとしてしまいました。こんなにもすごい作品をうみだしているにも関らず、私とたった3さいしか変わらない…本当にすごいと思いました。心情を考えるのが楽しく、読んでいて面白かったです。
東雲(神戸市立本多聞中学校 中学2年生 14歳)

 

一番気に入ったセリフは、真柴と寄田が早見について話している時に、寄田が言った「あなたは遊びですって、実際に言われたの?」「だからってなんで好きじゃなくなるの?」です。確かに、本当に相手の事が好きなら自分をどう思ってるか聞けばいいし、そんな新しい面を知ったぐらいでは嫌いにならないのだろうと思ったからです。
 この物語を読んで、皆が作っている表の顔はよくいる高校生なのに、それぞれが裏の顔を持っていて、しかも裏の顔は少し普通と変わった性格をしており、「普通」や「価値観」について考えさせられました。

水縹ゆあ(埼玉県立大宮高等学校 高校2年生 17歳)

 

語彙や比喩などの表現が巧みで同じ高校生とは思えないほどでした。物語に高校生の繊細でリアルな悩みや感情が描かれていて、共感するところがたくさんありました。私も自分のキャラを演じてしまうなあというときがあるので、同じ高校生の目線から見ると、同じように思ってるんだなと少し安心しました。
芽桜(浦和第一女子高等学校 高校1年生 16歳)

 

モルヒネに共感する部分が多くあった。
食欲よりも面白さの美徳が勝つのも分かる。
教室の中の自分と本当の自分の間で苦しくなるのも共感。
小島明日菜(山陽学園高等学校 高校2年生 16歳)

 

何度読んでも心に残る本です。
松下彩花(山陽学園高等学校 高校1年生 15歳)

 

まわりの人のささいな言動や、ほんのちょっとの気の緩みで壊れてしまう「軸」の弱さ、脆さが高校生だと思った。言葉にすることが難しい、複雑でぐちゃぐちゃになった心の中を丁寧に書いていてすごかった。何度も読み返すことで、より深く登場人物に感情移入できて、モルヒネの混乱や真柴のマユに対する思いがよくわかって、読みごたえがあった。
丸山彩音(山陽学園高等学校 高校1年生 16歳)

 

ただただ、リアルな作品でした。残酷で、はかなくて、鋭くて、美しい。初めて感じる読後感で、不思議な感じです。
高林祐多(西本郷中学校 中学2年生 14歳)

 

「価値観が違う」という理由ひとつで人のことを理解しようとしないことが許せないモルヒネは、マユや真柴が互いにぶつかり合って価値観の違いさえ超えて、分かり合えることを望んでいたのだと思う。マユのとこが自分が理解されることを諦めているような態度はモルヒネを傷つけていたのかもしれない。それでも自分にまっすぐ正直に生きるマユはモルヒネには輝いてみえたのだと思う。マユは「自分のことが好きっぽい真柴」にパパ活でわからなくなってしまったフツウの恋愛を教えてほしかったのではないか。真柴は予想以上に諦めが早くて悲しくなった。若者特有のキラキラした勢いを感じたかった。
ちゃぐちゃぐ馬っこ(浦和第一女子高等学校 高校1年生 15歳)

 

あらすじを読んだだけでは高校生の青春ストーリーだと思ったが、40ページほどの小説にして内容が濃かった。作者さんが高校生徒は思えないような語彙力だ~と尊敬の気持ちでした。会話文でないところが主人公たちの視点で描かれており、節ごとに視点が切り替わるのが面白かったです。最初は「モルヒネ」という名が何だか分からなかったが、読み進めていくうちにわかって、こういうことか…と心を動かされました。
四色問題(浦和第一女子高等学校 高校1年生 16歳)

 

先が気になって、一気に読んでしまいました! 自分に正直で友達に対しても率直に言うモルヒネがとても新鮮だと思いました。まわりに流されず自分の思ったことをおし殺さずに、他の人の言う自分を表している軽々しい言葉にもあらがうモルヒネはとてもエネルギッシュで自分ももっとまわりのことに対してめんどくさがらずに考えを持ちたいと思いました。読んでいて小中学生のころを思い出しました(女子高でまわりに真柴のようにバカっぽくふるまっている人がいないので、忘れかけていました。ガチャガチャとした騒がしい感じがなつかしいです)。モルヒネの自分のまわりをとりまくものにそまらないように一生懸命になっているところ、なあなあにして生きていれば楽だけど、自分をしっかりもとうとしている姿がとても印象的でした。
琥珀糖(浦和第一女子高等学校 高校2年生 17歳)

 

まず、同じ年、同じ性別の自分と同じ女子高生がこのような小説を書いたのかと驚きを覚えました。よい意味で裏切られました。情景描写がプロの作家の方が書かれているものと変わらないほどレベルが高いように感じられます。小説の内容に関しては、私は、モルヒネと同じであり、モルヒネがバカにしている高校生でもあると思いました。マユのパパ活やモルヒネのようなオーソドックスな高校生とはいいがたい側面だけではなく、翔や寄田、クラスメイトのような普通の高校生らしい部分もあり、共感しやすかったです。最後がやや唐突なきがしました。もっと深い内容も読みたかったです。
有栖(浦和第一女子高等学校 高校2年生 17歳)

 

・共感する部分と、気づかされる部分がたくさんあった。 
・具体体な描写があって、そのびょうしゃには共感できる要素が多くあった。 
・年か近いからこそできる表現、伝わる表現なのかもしれない。 
・様々な本を読んできた(と私は思っています)のですが、新さんの選ぶ言葉がすごく素敵で、読んでいてひきこまれました。 
・読み終わったときに、なにかはわからないけれど、なにか心に残るものがあった。その「なにか」の正体を知るために、もう一度読もうという気持ちになる。 
・新さんのように、素敵な文章・作品を各ことができるようになりたい。 
・自分が言葉では表すことのできない感情が描かれていて、すごく心に残った。
麗夢(浦和第一女子高等学校 高校1年生 16歳)

 

「モルヒネ」「マユ」「真柴」それに「ガム」登場人物それぞれが違った価値観を持っていて、物語の中で彼らが安易に分かり合うことはない。しかし、変わるか分からない現実を目前にしても諦めず、「価値観」が違うというだけで片づけてしまわないで、自分の主張を声高に叫び、一見冷たくつきはなしながらもその実、最も他人のことを思っている「モルヒネ」の姿に勇気をもらいました。遠目から見て「モルヒネ」のように自分を表現することもはたまた「真柴」のように他人に合わせることを第一信条とするのは、どちらが正しいとははっきり言えません。高校生は「真柴」派の方が圧倒的多数です。その世界の中で微小な違和感を抱いていた人間に「モルヒネ」は毒とも薬ともつかない衝撃を与えてくれました。
スイ(浦和第一女子高等学校 高校2年生 17歳)

 

私と1つしか歳が変わらないのに、言葉の表現が巧みで刺激を受けました。非常にタイムリーな話題が入っていて面白かったです。私も主人公と同じ高校一年生の16歳です。等身大のリアルな高校生が描かれており、共感する点が多くありました。どこの高校生でも考えていることは変わらないのだと感じました。自分と重なる部分があり、誰もが同じような経験があるのではないかと思います。みんな普通にふるまっているように見えるけれど、クラスの中心でムードメーカー的存在の人でも自分のあり方や家庭環境に悩んでいるという描写があるので、人間関係に悩む高校生にぜひ読んでほしいと思いました。
いちご(浦和第一女子高等学校 高校2年生 16歳)

 

心情描写の細かさ、正確さに驚いた。次々に揺れ動いて変化していく若者の心情を、細い毛糸をたどるように追いかけてゆく物語だと思った。結末が明確に示されないまま終わるのも、その心情変化自体に視線をあわせられるから、この物語に合っていると思う。価値観の違いをテーマにしながらも、主人公たちはそれをわかりあわず、わかりあおうともしない。単純ではない世界を美化することなくそのまま描いているところが気に入った。
原まりこ(浦和第一女子高等学校 高校1年生 16歳)

 

久々に小説を読んだのだが、スラスラと読める作品だった。はじめ、先生にあらすじを伺ったときは、青春を連想させる男女の恋愛の作品だと思った。しかし実際によんでみると、良い意味で期待を裏切られたのを実感した。登場人物、特に「モルヒネ」の心情描写には大きく心を動かされた。クラスの中心として周りを笑顔にさせる彼女の心の奥底には、周囲に対しての負の感情があり、それに気づかずに周囲は彼女に接する、この「諦め」が出来ない「モルヒネ」の思いや本音は作品内で十分に表現され、読者側の私たちにも刺さるものがあった。単なる「高校生たちの青春」で終わらせてないところ。彼らの心の根が細かく描かれているところが「次のページを早く読みたい」と思わせる要因の一つだろう。
栗原史佳(浦和第一女子高等学校 高校1年生 15歳)

 

新さんの書く登場人物は私の知っている人物とはかけ離れているなと思った。まず、私の周りにはモルヒネのように自分の意見を声を大にして言える人はいない。それにマユのように計算高い人もいないし、真柴のように恋に夢中になっている人もいない。なので正直、私が共感できるようなシーンは少なかった。でも、モルヒネが言いたいことをぶつけているシーンの爽快感は独特で、場面の移り変わりが自然だったので読みやすかった。また思春期特有の危うさがにじみ出ていて、新鮮な感覚を読者に与えてくれる作品であると思った。
A(浦和第一女子高等学校 高校2年生 16歳)

 

この作品を読み終わった後、人間関係、本当の自分について考えさせられました。「星に帰れよ」は私に等身大の自分を気づかせてくれました。「星に帰れよ」日常的になさそうであるリアルな学生生活の一部が描かれていてまるで自分が登場人物の一人になったように自分と世向尾tができました。また書き出しが最初によく分からず「何のことを言っているのか」と不思議に思っていましたが、読んでいくうちに違う視点から語られている場面があり、引きつけられました。
Elsea(浦和第一女子高等学校 高校2年生 16歳)

 

同世代の方が書いたとは思えないほど、視点を変えながら話を進めていくのが上手く、驚きましたが、大変楽しみながら読ませていただきました。最も印象的だったのは、自称「エンターテイナー」でありながら、周囲からの影響を受けやすい「モルヒネ」です。姉がボロボロになってしまった後、呼び名も「キャラ」も引き継いだのは、やはりどこかで姉を敬愛し、同じ星の住人でいたいという思いがあるからだと感じました。また、この小説の主な登場人物の一人「マユ」の視点がありませんでした。不思議ちゃんのモルヒネの素性は徐々に明かされていくのに対して、セリフやそれぞれの人からの視点でしか分からない彼女の存在が、この小説の謎めいた魅力をひきたたせているように感じました。
tomoko(浦和第一女子高等学校 高校1年生 16歳)

 

真柴とモルヒネが16歳になった夜。お互いに学校では見せない性格、本音を知った。またマユもモルヒネ以外の皆に隠していることがある。同年代の主人公たち、作者さんだからこそ、より身近で読みやすかった。現代ならではの言葉や事細かな説明で情景が目に浮かびやすかった。モルヒネが「学校では本当の私でない」と思っているところから今の社会で問題視されている偽りのキャラクターや立場について読者が考えさせられる作品だった。
いぬ(浦和第一女子高等学校 高校1年生 16歳)

 

人間、特に思春期の学生たちは皆「普通の人とは違う特別な自分」で居たいという願望を少なからず持っているものだと思いますが、「モルヒネ」は特にそんな感情を強く持っていた人物であると思います。私が「星に帰れよ」で最も印象に残った人物である彼女の性質や人間性を稚拙ながらも言語化させてください。

元々ほとんど存在感の無かった彼女は、特別な人間でいたいと固執する気持ちや、精神的支柱であった父の喪失、モルヒネとしての限界を迎えた姉に有象無象と同じだとみなされたことなどが理由で、姉の代わりに「モルヒネ」を演じるようになったのだと思います。実際に「モルヒネ」となった彼女は、身体に「モルヒネ」としての言動が染み付いてしまった嫌悪感や、役作りをやめてしまったら本当の自身は確立されているのかという不安に人知れず悩まされていましたが、その本音の更に奥にある本音では、誰も真似出来ないくらい強烈な「モルヒネ」で居たいからこそ、そのキャラクターを苦しみながら続けていたのかなと感じました。また、彼女は「特別」でいたいからこそ自身を解釈されることを嫌い、夜中の公園という特別なシチュエーションを好んだのかもしれません。

そんな彼女にとっては彼女自身が不潔だと忌み嫌い、手に入れたこともない「恋」を「絶対」とする真柴やマユは蔑むべき対象であり、同時に可哀想だと同情して優越感を感じたり、自分の特別性を再確認するための心の安息所でもありました。しかし、結局そんな彼らや「恋」が彼女を支えていた信念であり、絶対であり、神様であった「モルヒネ」を壊し、彼女は自身に普遍性を見出し、理想に屈服してしまうことになりました。そして浮かび上がってきた最も素直な感情が、最後の「「モルヒネ」でいたかった」なのだと思います。

ところで、小説に出てくる登場人物は、どこか別の世界に居る「キャラクター」というイメージが強かったのですが、ここに出てくる人物は皆、等身大の高校生としてどこかの学校にいるような気分になりました。寧ろ「モルヒネ」こそが、一番デフォルメされた人物像で、その存在が際立っている所がとても考えさせられました。誰もが皆、それぞれが属している共同体で役割を求められ、時にはそれを演じる事もありますが、そのキャラクター性にアイデンティティを見出し、特別な自分に酔い、固執する。これはある意味多くの人にある事例であり、最早「普通」であると言えるのかもしれません。では、本当の「普通」と「特別」の境界線は一体何なのか。読めば読むほど、自分自身のあり方について問いかけたくなる奥の深い小説でした。

 

まるぼ(渋谷教育学園渋谷高等学校 高校1年生 16歳)

 

マユとモルヒネが一緒に勉強しながら話しているシーンが印象的でした。マユには自分の正義が分からない、と思っているのに、それでも自分が正しいと思わないことを指摘せずにいられないモルヒネの苦しさが鮮明に描かれていて自分のそれと重なるようでした。

皐月(渋谷教育学園渋谷高等学校 高校2年生 17歳)

 

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