日本文学

モテの身体性──片岡義男の小説はいつもいいにおいがする

片岡義男『くわえ煙草とカレーライス』書評  コーヒー、カレーライス、万年筆のインク、玉子サンド。片岡義男の小説はいつもいいにおいがする。いくつも登場する喫茶店は香りに満ちていて、とびきり居心地がよさそうだ。たとえばこんな描写。〈コーヒーをひと口だけ飲んだ彼女は、自分はいま考えごとをするのだ

くっついて、わからなくなる──島田雅彦「絶望キャラメル」書評

 「絶望」、は小説にはよく出てくるかもしれない。「キャラメル」はそこまで小説では見かけないけれど出てこないことはない。でも「絶望」と「キャラメル」の組み合わせは、たぶん初めて。くっつけて「絶望キャラメル」にすると、絶望も、キャラメルも、ちょっと、おかしくなって、よくわからなくなる。 そんな

落語とハムレットの「世界」で ── 橋本治『おいぼれハムレット』書評

 座布団に正座した落語家はパーパー言いながら、何もないからこそ何でも生み出すことができる。つじつまは客が合わせる。例えば、頭上から桜の木が生えた男。ここまでは誰でも絵を浮かべられる。ただ、これが、頭上の桜を根こそぎ引っこ抜かれてできた巨大な穴が池となり、屋形船だなんだでどんちゃん騒ぎ、その騒音でノイ

世界でひとつだけの花──山内マリコ『選んだ孤独はよい孤独』書評

 孤独はカッコいい。なんだかハードボイルドだ。闇を背負っている雰囲気があるし、それだけですごい特別な存在っていう感じがする。思春期はとくに孤独を好みがちだけど、思春期マインドにあふれた中年のぼくも、いまだ孤独の大ファンだ。十代の頃、孤独に酔いたいがために家出して、駅前で物乞いをしたことがある。あれは

奴隷国だ! 「にっほん」には奴隷しかいない!  ーー笙野頼子『ウラミズモ奴隷選挙』発売迫る!!

奴隷国だ! 「にっほん」には選挙権のある奴隷しかいない!2003年『水晶内制度』、2006年「だいにっほん」シリーズ、2016年『ひょうすべの国』――その予見性で現代世界文学読者を戦慄させ、とうとうカサンドラと呼ばれてしまった作家・笙野頼子が、前作を超えて更なる追撃へ!日本奴隷制社会への最も過激な告

「恋」と「努力」と「友情」の超進化系青春小説 町屋良平『しき』(第159回芥川賞候補作)試し読み公開!

「は?好きな季節?そんなのねぇよ!」とは言えず、 仕方なく消去法で秋を選んできた自分に突きささった。 町屋良平が好きすぎる。──尾崎世界観(クリープハイプ) 昨日7月18日、第159回芥川賞・直木賞受賞作が発表されました。芥川賞は高橋弘希さん「送り火」、直木賞は島本理生さん『ファーストラヴ

★試し読み★『意味が分かると怖い話』より「でるんです」ほか試し読み

「5分シリーズ」のスピンオフ企画、「5分シリーズ+」『意味が分かると怖い話』(藤白圭)より、試し読みを公開中! **********でるんですうちのアパート……出るのよ。え?何がって? 「幽霊」に決まってるじゃない!家族の霊っぽいんだけど、朝から晩までいて、子どもなんてベッドに侵入してくる

★まるごと1話試し読み★『5分後に切ないラスト』より「おやすみ、また明日」

『5分後に切ないラスト』より、まるごと1話試し読み!**********「おやすみ、また明日」 あー、良く寝た。おっ、コースケじゃん。お見舞いご苦労。いやぁ、参ったね。突然入院なんてさせられてさぁ。……なんだよそんなシケたツラして。え? あたしの顔色、そんなに良くない? あはは大丈夫だよ。

【満員御礼】辻仁成『真夜中の子供』刊行記念サイン会決定! 作品の舞台である福岡中洲で開催!

当サイン会は満席になりました。多数のお申込みありがとうございました。日本屈指の歓楽街・博多中洲に生きる無戸籍の少年を主人公に描いた、感動新作小説『真夜中の子供』の刊行を記念し、作品の舞台である福岡中洲で、著者・辻仁成さんのサイン会の開催が決定いたしました。皆様の参加をお待ちしています。日時: 7/1

文学というよりも、光だ──『さざなみのよる』書評

木皿泉『さざなみのよる』書評*********文学というよりも、光だ山崎ナオコーラ 文学は死の仕事を常に行ってきた。死とは何か、死をどう受け止めたら良いのか、世界中の作家が考え続けている。古今東西の小説に死が描かれており、死はありふれたテーマだ。『さざなみのよる』も、死に関する仕事が行われ

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