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東京がありとあらゆるテロに見舞われる!? 人気警察小説「戦力外捜査官」シリーズ第5弾『破壊者の翼』 著者あとがきを公開

東京がありとあらゆるテロに見舞われる!?
テレビドラマ化もした人気の警察小説シリーズ「戦力外捜査官」シリーズ最新作!
破壊者の翼

海月&設楽の捜査一課凸凹コンビの前に、最凶の敵〈鷹の王〉降臨!
ボウガンで無差別に襲撃し、ビルなどに放火する殺人ドローンを従えて、さらに大きな企みで首都・東京に襲いかかる!

刊行を記念して、書籍収録の著者あとがきを公開します。
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あとがき

 

最近思うのですが、ピーマンとパプリカってどこがどう違うのでしょうか。

まず外見がよく似ています。それから味もよく似ています。もちろんどちらもよく噛むとニガくて実に栄養豊富そうな味、という点で似ているだけで二つ並べて食べ比べてみれば違うのでしょうが、その差はアイドルファンにとっての某アイドルグループ一人一人の差とか相撲ファンにとっての各力士の仕切り動作の差とかオーディオ好きにとってのスピーカーの違いとかそういった系統に属する、つまり「違いがわかる人だけわかる」やつだと思うのです。お値段はだいぶ違いますが使う料理はどちらも似たり寄ったり、キャラが思いきりかぶっています。生物学的にもピーマンはナス目ナス科トウガラシ属トウガラシ、対してパプリカはナス目ナス科トウガラシ属トウガラシなわけでして、要するに同じ植物です。これはネットで調べてずっこけました。「同じじゃん!」と。どうも品種が違うだけのようです。

もちろん、ここまで書くと反論も出てきます。そう、色が違いますね。ピーマンは緑。パプリカは赤・オレンジ・黄色。しかし。

 

──「赤ピーマン」。

 

一体何なんでしょうこいつは。せっかく色で明確に区別がつけられると思っていたのに、こいつのせいで台無しです。というより赤いんならもうピーマンを名乗らなくていいのではないでしょうか。トゲのないトゲハムシはトゲナシトゲハムシではなくただのハムシでいいと思うのです【こいつの仲間にかの有名な「トゲアリトゲナシトゲトゲ」がいる。脳トレか何かのつもりなのだろうか。】。脚がぜんぜんないトカゲを無理して「アシナシトカゲ」とか呼ばずに普通にヘビでいいと思うのです【そうはいかない。ヘビとトカゲの差は脚の有無ではない。感覚器のつくりとかシッポ切りの可否などが根本的に違うのである。】。とはいえどうもピーマンは未成熟果を収穫しているからあの緑色で、普通に成熟させると赤ピーマンになるらしく、そう考えるとピーマンは本当は赤い、と言ってもよさそうです。紛らわしいから緑のままでいて欲しいのですが、「いつまでも成熟するな」というのも無体な話です。人間だって子供の頃は早く大人になりたいと思っていた人が大多数です。子供の頃は思っていました。大人になれば勉強しなくていいし、水泳の授業やらなくていいし(カナヅチなので大変苦痛でした)、受験もないし、お金はいくらでも自由に使えるし、一人で勝手に泊まりがけの旅行にぴょろーんと行っちゃっていいし、昼間っから飲んだくれていてもいい。早く大人になれないものか、と。もっとも実際大人になってみると日々勉強をして場合によっては資格試験など突破していかないと一流の仕事人にはなれないし、お金はいくらでも自由に使えるけど自由に使った分は年利15%(十万円以上百万円未満は18%、十万円未満は20%。二〇一七年十月時点)で返済しなければならないし、一人で旅行に行ってもいいけど旅行先の観光スポットでは自分以外全員カップルという状態になったりして辛いし、運動不足解消のためそろそろ水泳でも始めなければいけません。あと私は下戸です。

とはいえ、現在では子供の頃にはなかったあれやらこれやらのおかげで、日々だいぶ助かってもいます。車には衝突安全装置がありますし、電車のきっぷは改札にピッとやるだけですし、この原稿だってマイコン【「マイコンピューター」または「マイクロコンピューター」のこと。「コンピューター」は巨大なのが当たり前だった一九七〇~八〇年代には、パソコンはこう呼ばれていた。】で書いています。何よりスマートフォンというやつの存在にとても助けられています。本作中でも大活躍するスマホですが、設楽や海月だけでなく著者も助けています。どこでも即ネットにつながるため外でお仕事ができるのです。もちろん私の仕事用マイコンはノートマイコン【したがって、当然こんな言葉はない。】なので鞄に入れて持っていくこともできるのですが、以前ハードディスクが飛んだ【マイコンに保存したデータはいきなり、何の前触れもなく、買ったばかりなのに、何も悪いことをしていないのに、仕事が忙しいのに、ソフト・保証・周辺機器等諸々合わせて十六万もしたのに消える。競争激化によるメーカー側のコストダウン、部品精度の低下が原因の一つと言われているが、原理的にこれを100%避ける手はなく、店員さんには「運だと思ってください」と言われた。時に電気屋さんに「ハードディスクを飛びにくくするにはどうすればいいですか?」と訊いたら「持ち運んだりせず、傾けたりせず、なるべく動かさずに机に据え置いて使ってください」と言われました。それって「据え置き型」と呼ぶのではないでしょうか。そんななので大変助かっています。最近は助かるあまりスマホ依存がひどくなって、混ぜ物のある粗悪品ではいくら吸ってもハイになれず、純度100%の上物を直でガリガリやらないとダメな体になりました。ちなみにスマホには「便座の十倍以上」の雑菌がついていますので、あまりそういうことはしない方がいいです。もっとも便座というのは抗菌されている上に普通はよく掃除されており、実際には家庭内で最も雑菌が少ない場所の一つです。それより人の顔面の方がよっぽど雑菌とか寄生虫がいます。しかし便座には危険な大腸菌その他がいるので、便座を直でガジガジやるのはやはり避けるべきです。ようは雑菌の「数」だけを取り上げて「便座の〇倍汚れている!」などと騒ぐのはあまり意味がなく、トイレでスマホをいじらないとか、そういう常識的なポイントを押さえておけばいいようです。

さて、本書をお読みいただきましてまことにありがとうございました。あとがきの時間です。

本作で「戦力外捜査官」シリーズも五冊目になりました。ここまで続けてこられたのも担当N氏をはじめとする関係者の皆様のおかげです。N様、いつもありがとうございます。装画の烏羽雨からすばあめ先生、ブックデザインの坂野さかの公一こういち様、文庫版でもお世話になっております。今回の表紙がどんな感じになるか楽しみです。校正担当者様、似鳥の恥ずかしい誤字脱字・勘違い記憶違い・前後の矛盾から表現のおかしな点まで、人に見られる前に拾って片付けて下さいまして、まことにありがとうございます。また製本・印刷業者様、河出書房新社営業部の皆様、取次・配送業者様、そして全国書店の皆様、この原稿を本という商品にして津々浦々に届けてくださる方々に、厚くお礼申し上げます。

そして読者の皆様。今回も、お会いできたことを大変嬉しく思います。本書が皆様にとって少しでも楽しい時間をお届けできるものであれば、これ以上の幸いはございません。凸凹コンビの活躍を、今後ともよろしくお願いいたします。

 

二〇一七年十月 似鳥鶏
Twitter https://twitter.com/nitadorikei
Blog「無窓鶏舎」 http://nitadorikei.blog90.fc2.com/

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本編は本書にてお楽しみください。
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祝デビュー10周年!似鳥鶏さん特別メッセージ

 

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著者

似鳥鶏(にたどり・けい)

81年千葉県生。鮎川哲也賞佳作入選『理由あって冬に出る』でデビュー。魅力的な人物や精緻な物語で注目を集めている。『ダチョウは軽車両に該当します』『パティシエの秘密推理 お召し上がりは容疑者から』等多数。

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