「この10年ほどの純文学新人賞受賞作の中でも屈指」と絶賛 第57回文藝賞受賞作 藤原無雨『水と礫』【試し読みあり】
藤原無雨
第57回文藝賞は史上最多の応募作の中から受賞作として、藤原無雨さんの『水と礫』が選ばれました。砂漠に隣接する架空の町を舞台に繰り広げられる、壮大なスケールの一大叙事詩。「同じ物語の反復」という、大胆な手法で描かれるのは、東京で負った傷を癒すため砂漠を越えようとする男と、その一族の物語。生きづらい現代
2020.11.16日本文学
藤原無雨
第57回文藝賞は史上最多の応募作の中から受賞作として、藤原無雨さんの『水と礫』が選ばれました。砂漠に隣接する架空の町を舞台に繰り広げられる、壮大なスケールの一大叙事詩。「同じ物語の反復」という、大胆な手法で描かれるのは、東京で負った傷を癒すため砂漠を越えようとする男と、その一族の物語。生きづらい現代
2020.11.16評者・太田莉菜
時たま友人と話題にあがる話で、子供の時にふと「今見えているこのリンゴの赤は私にとっては赤だけど、他の人には違う赤かもしれない、丸く甘酸っぱいこの果物は、他の人には四角く苦い他の何かかもしれない、そうなると私の生きている世界は信じていいの? 正しさってなに? 絶対ってなに?」と考えたりすることがあっ
2020.11.10評者・彩瀬まる
読みながら、これまでの人生で遭遇した数々の不穏で心もとない一瞬が、水底から立ちのぼる泡のようにふつふつと眼裏へ浮かんだ。道端にしゃがんでこちらを見ていた、年齢も背丈も同じくらいなのに腕の太さが自分の半分しかない子供。うちの母親は馬鹿だから殴っているんだとファミレスで熱っぽい目をして語った同級生。鉄
2020.11.09応募要項【応募期間】2020年10月6日(火)〜2020年10月30日(金) 午前9:30【応募条件】・Twitterアカウントをお持ちであること・『あの夏が飽和する。』書籍公式Twitterアカウント「@anonatsu_book」をフォローしていること(当選の場合、DMでご連絡するため)【応募方
2020.10.06評者・今泉力哉
肉食なのに乾いている小説『破局』を読んで笑った――遠野遥 著『破局』今泉力哉 私は普段小説を読む習慣がないので、一冊の本を読み終えるのに相当な時間がかかる。最初から最後まで一気に読めたことなんてほとんどない。でもいつぶりかに一気に読めたのが、この遠野遥という人が書いて文藝賞を受賞した前作『改良』だっ
2020.09.15宇佐見りん
宇佐見りん『推し、燃ゆ』が、第164回芥川賞を受賞しました。「推しは私の背骨」と言い、アイドル上野真幸を”解釈”することに心血を注ぐあかり。その推しが炎上し――。他の人ならなんなくこなせる「普通」ができず、推しを推すときだけ生きていることを感じられるあかりの生きづらさ、切実
2020.09.09川上未映子
発売中の秋季号は発売4日での増刷が決定し、大幅リニューアル後、6号中3号が増刷した「文藝」。今号では夏季号の緊急特集「アジアの作家たちは新型コロナ禍にどう向き合うのか」に続き、「世界の作家は新型コロナ禍をどう捉えたか」と題し、コロナ禍の中で世界の作家が紡ぐ言葉を特集しました。その中から今回、イギリス
2020.07.22遠野遥
このたび第163回芥川賞を受賞した遠野遥さんは、昨年、「改良」で文藝賞を受賞し作家デビューしました(選考委員:磯崎憲一郎、斎藤美奈子、町田康、村田沙耶香各氏)。芥川賞受賞を記念して、第56回文藝賞の「受賞の言葉」を公開します。 受賞の言葉遠野遥 受賞を機に、今までに書いたいくつ
2020.07.21赤江瀑
「獣林寺妖変じゅうりんじようへん」「禽獣きんじゅうの門」「花曝はなされ首こうべ」「海峡」など数多の伝説的な名品を生んだ蠱惑の鬼才、赤江瀑。デビュー50周年にあたる本年、読本『赤江瀑の世界』を刊行しました。赤江瀑傑作選、単行本未収録作品、赤江さんを愛する多くの方のご寄稿、作品ガイドなどを収録した決定版
2020.07.16遠野遥
遠野遥さんが『破局』で第163回芥川賞を受賞しました。2019年、美に執着し女装する大学生を描いた『改良』で第56回文藝賞を受賞しデビュー。受賞後第一作「破局」で、早々に芥川賞に初ノミネート。そのままこのたびの受賞となりました。 「破局」は元高校ラグビー部員の大学生のストイックでリア充、だけどどこ
2020.07.15