文藝

「作家は真実の言葉で嘘をつく」──小説家・金原ひとみが「私小説」をアップデートするまで

「文藝」2022年秋季号の特集「私小説」で責任編集をつとめた金原ひとみさんによる、本特集の「プロローグ」を公開いたします。「プロローグ」でありながら私小説的楽しみに満ちた文章をぜひお楽しみください。◎イベント開催決定!9/4(日)19時~@本屋B&B(オンライン配信)金原ひとみ×エリイ×尾崎

「文藝」秋季号掲載、長井短「ほどける骨折り球子」試し読み

妻の球子(たまこ)は俺を庇って骨折ばかりする。俺も球子を守りたくて夫婦で〝守りバトル〟に没頭するある日、勤め先に俺が会社の金を横領していると電話が入り―。俊才の小説第二作、初中篇。===↓試し読みはこの↓へ===ほどける骨折り球子長井短  球子の骨折が治ったのは結婚記念日の前日で、これで明

宇佐見りん芥川賞受賞第一作『くるまの娘』試し読み

車で祖母の葬儀に向かう、17歳のかんこたち一家。思い出の景色や、車中泊の密なる空気が、家族のままならなさの根源にあるものを引きずりだしていく。52万部突破『推し、燃ゆ』に次ぐ、慟哭必至の最高傑作!   ===↓試し読みはこの↓へ===くるまの娘宇佐見りん  かんこ、と呼ぶ声がする

「文藝」夏季号掲載、文藝賞優秀作受賞第一作の新胡桃「何食わぬきみたちへ」試し読み

向き合わずにいられて、安全圏で生きられて、いいな――。高校の教室、ひりつく記憶。第57回文藝賞優秀作受賞の著者による第二作。  ===↓試し読みはこの↓へ===何食わぬきみたちへ新胡桃 伏見の場合  ピピッと小気味よい電子音が鳴った。スイカで改札を出てすぐバスに乗り、し

「文藝」夏季号掲載、でか美ちゃん「名前だけでも覚えてください」試し読み

私には特別な才能があるはずなのに、いつもいつも“普通”で、名前も普通、あだ名さえつけてもらえない。名前を巡る冒険を描く、著者初の小説。===↓試し読みはこの↓へ===名前だけでも覚えてくださいでか美ちゃん 田中由美 今ここで立ち上がって、大きい声でも出したら、私、どうなっちゃうんだろう。「えー、文武

「文藝」夏季号掲載、山下紘加「あくてえ」試し読み

あたしの本当の人生はこれから始まる――。九十歳の憎たらしいばばあと、面倒見が良く気弱な母と三人で暮らす小説家志望のゆめ。鬱屈を悪態に変えて己を奮い立たせる十九歳のヘヴィな日常。===↓試し読みはこの↓へ===あくてえ山下紘加  あたしは日頃から、あくてえばかりつく。「あくてえ」は、悪口や悪

作家・円城塔は、『その午後、巨匠たちは、』を読みながらこう考えた。

『草枕』を持ち出すまでもなく、絵画と小説の相性はよい。 どちらも何かを描くのである。片方は文字で、他方は色の広がりで何かをそこに、止まった形であらわすのだが、何が描かれているかについての議論は込み入る。 ごく素朴には、どちらも現実の何かを描くのであり、であるならば、そこには主客というものがある。とこ

加害者の「私」が罪とどう向き合うか。「正しさの存在しない物語」、李龍徳『石を黙らせて』(大江崇允・評)

『石を黙らせて』は読み手の共感をどこか拒絶する……巧みに。言葉を選ばず書くと、そんな小説である。そして何より、そこが傑作であった。 小説は主人公「私」が婚約者にある過去を告白する場面から始まる。彼は十七歳の時、親友の松原幹央を含む仲間四人で女性をレイプした過去を持っている。忘れていた、忘れたい罪を彼

MOMENT JOONの問いと思索に引き裂かれる『日本移民日記』

痛々しさを孕んでいる日記だ。あなたをどこまでも追い詰め、常識と価値観を丁寧に丁寧に引き裂いてくる。 著者のMOMENT JOONは韓国出身、大阪在住の移民ラッパーであり、二〇二〇年に発表したアルバム『Passport & Garcon』はその年のベスト・ヒップホップ作品との声を集めた。試しに

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