
見えにくいから見えてくるもの:花代の写真と漂流者の視点『花代の世界 地下活動半世紀』刊行に寄せて
松井みどり
I. 花代の写真に最初に出会ったのは、1996年刊行の写真集『ハナヨメ』と、それを記念するタカ・イシイギャラリーでの展示を通してだった。そのとき、ピンクやブルーに輝くおもちゃや踊りの発表会のような親密なイメージと平明な光で撮られた海外の町の一画が並列され、時折挿入される骸骨のイメージが甘美な夢
2021.10.05単行本
松井みどり
I. 花代の写真に最初に出会ったのは、1996年刊行の写真集『ハナヨメ』と、それを記念するタカ・イシイギャラリーでの展示を通してだった。そのとき、ピンクやブルーに輝くおもちゃや踊りの発表会のような親密なイメージと平明な光で撮られた海外の町の一画が並列され、時折挿入される骸骨のイメージが甘美な夢
2021.10.05東堂いづみ原作 三萩せんや著
感動の青春ファンタジー小説を、映画「ポッピンQ」のスタッフが制作したPVにのせて、2冊同時発売!!東堂いづみ原作、三萩せんや著の青春ファンタジー小説『時守たちのラストダンス』、『七夕の夜におかえり』2作品を2021年10月14日(予定)同時発売いたします。■『時守たちのラストダンス』 原作:東堂いづ
2021.10.01宇川直宏(DOMMUNE)
今でも脳が覚えている。花代の『ハナヨメ』を最初に体感した日のことを……。独自のエコシステムで数億年生きていた、名もなき惑星を初めて発見したようなあの感覚を、四半世紀が経過した今も昨日のことのように覚えている。そこに写っていた「他人の顔(@安部公房)」は、ハーフサイズカメラの特性を引き出したビビッド
2021.10.01アントニオ・スクラーティ 栗原俊秀訳
『小説ムッソリーニ 世紀の落とし子』刊行と同時にイタリアに一大センセーションを巻き起こした小説。ムッソリーニが「戦闘ファッショ」を結成した1919年から、クーデターのローマ進軍を経て、ファシズム独裁が始まる1925までを描く。 訳者あとがきファシズムの歴史を、ムッソリーニの視点
2021.09.27アントニオ・スクラーティ 栗原俊秀訳
イタリアの独裁者ムッソリーニを主人公として書かれたイタリア文学史上初めての小説。すでに国内だけで50万部のベストセラーとなり41カ国で版権売れ。ファシズムをえぐる話題の小説。『小説 ムッソリーニ 世紀の落とし子』一九一九年 戦闘ファッショ創設 ミラノ、サン・セポルクロ広場、一九一九年三月
2021.09.22山本貴光
10年以上にわたって多彩な視点から日本語をめぐる著作を発表しつづけてきた今野真二さん。その日本語学のエッセンスを凝縮した一冊とも言える『日本語の教養100』が刊行されました。これを機に、今野日本語学の「年季の入った読者」と自任する山本貴光さんとの往復書簡が実現。日本語についてのみならず、世界をとらえ
2021.09.03いしいしんじ
この世をひとつの舞台として 波の音ではじまる。船べりからのぞむ珠洲の岬。飛沫を上げる岩、倒れんばかりの松。ひとりの老翁が舳先から見つめる。振り絞るようなその息子、元雅(もと まさ)の声は、過去といま、未来をこえて、海原に響く。元雅の身は、すでにこの世のものでない。 能楽者、世阿弥元清は七十二にして
2021.08.05瀬戸夏子
倫理的な、あまりに倫理的な他者の言葉を奪って成立する語りにどんな倫理があり得るだろう。 この本はいまどきめずらしく「正しくない」フェミニズムを標榜する本だ。元になった『サイゾー』での連載タイトルは「ドラッグ・フェミニズム」。これもまた「正しくない」フェミニズムで話題になったロクサーヌ・ゲイ『バッド・
2021.08.04海老原まよい
おかわりを求め続ける私たち 本作を読み始めてまず真っ先に思い浮かんだのは、私が昨年出場した大食い女王決定戦の新人戦だった。まだ大食いYouTuberとしても駆け出しで、右も左もわからないまま出場し、予選から決勝までがむしゃらに食べ続け、気が付いたら優勝していた。あの大会の光景を頭に浮かべ続けながら、
2021.08.03評者・内田剛
2021年7月26日、エディ・ジェイク著『世界でいちばん幸せな男』(金原瑞人訳)が刊行されました。本書は、第二次世界大戦下、ナチスによるホロコーストに遭い、アウシュヴィッツ他の強制収容所から生還した、現在101歳になるエディ・ジェイクさんが記したノンフィクション作品です。想像を絶する絶望
2021.08.03