単行本

アイデンティティに苛まれて──町屋良平 著『ぼくはきっとやさしい』書評

 本作のキーワードは「男メンヘラ」。「メンヘラ」って今や多くの人が使いますが、実ははっきりとした定義がない曖昧な言葉です。でも通底した雰囲気はあって、孤独、不安、卑屈、不安定など、生きづらさを感じさせます。その要因となる様々なものの中の大きな一つが、「自分とはなんぞや」という哲学のような問題。個人差

僕の居た場所──高山羽根子 著『居た場所』書評

「初めてのひとりで暮らした場所に、もう一度、行きたい」登場人物の小翠(シアオツイ)がいう。語り手の〈私〉も仕事を休んで小翠と共にいくことにするのだけれど、旅程を調べているとき、小翠が暮らしていた一帯の地図が見えなくなっていることに気づく。故郷ではなく、居た場所の情報が消えている。『居た場所』の表題作

上演は「字」で繰り返される──柳美里『町の形見』書評

 書評を任されておきながら、正直に白状すると、実はこの本と正面から向き合うことができていない。まだ冷静に読めないのだ。本の中に震災に関する詳細な記述があり、しかもそれらがみな実際に被災した七人の体験として書かれている。実際にそれを体験した人の悲しみやご苦労を考えると、わけのわからないものが胸にこみ上

多視座で世界を捉え直す試み──陣野俊史『泥海』書評

 二〇一五年一月七日。フランス、パリの風刺新聞社「シャルリー・エブド」襲撃事件およびユダヤ系食品スーパー襲撃事件。イスラム過激派による犯行として日本でも連日報じられたことを記憶している人は多いだろう。この事件は表現の自由論争を引き起こしたが、『泥海(どろうみ)』ではそこには重きを置かず、犯人たち及び

文芸季評 山本貴光「文態百版」:2018年12月~2019年3月 女の地獄巡り・言語・技術的無意識

1 評する者が評される文章を読み始める。書き手の言葉の調子と、読み手の意識の状態とは大きさと回転速度の違う二つの歯車のようだ。はじめはどこで接し合えばよいか分からず、それでも読み進めるうちにやがて眼や意識が文章に慣れて歯車がかみ合いぐんぐん先へ運ばれていくこともあれば、どこまで行ってもちぐはぐでガタ

前作で毎日出版文化賞受賞!気鋭の生物学者の最新作『進化の法則は北極のサメが知っていた』著者エッセイ

科学者が一般向けの本を書くということ。  科学者が一般向けの本を書くという慣習は欧米にはないらしい。あちらの科学者が本を書くとしたら、それは大学生向けの教科書であって、自らの体験を交えながら面白く科学を語るような本ではない。そういう本を書くのはサイエンスライターと呼ばれるプロの書き手の仕事

「文藝」夏季号の感想ツイートで当たる! 文藝をもっと好きになる本つめあわせトートバッグ「#文藝リニューアル」キャンペーン

4月5日、季刊文芸誌「文藝」2019夏季号が発売になりました。「文藝」はこの度新たなADに佐藤亜沙美氏を、表紙には話題のクリエイター・クイックオバケ氏を迎え、約20年ぶりに誌面を大きくリニューアルいたしました。この発売を記念し、本誌の感想をTwitterで投稿していただいた方の中から、抽選で15名の

令和改元記念!本邦初!全時代を網羅する前人未到の偉業、『天皇史年表』ついに完成!

令和改元記念!本邦初!全時代を網羅する前人未到の偉業、ついに完成!『天皇史年表』令和元年6月発売!神武天皇から現代まで、125代にわたる全天皇の事績から日本通史を網羅する、前人未到の偉業。古代から現代まで、数々の専門領域にまたがる「天皇制」の網羅的かつ詳細な内容を、読みやすい構成でまとめた、天皇史の

「みんな一緒に、みんな同じペースで」は、もう終わりにしよう。数多の現場に携わる教育学者が、「学校」をつくり直す方法を提言!

 学校システムの限界 どんな親も先生も、子どもたちには幸せな学校生活を送ってほしいと願っているはずです。 でもどういうわけだか、子どもたちが幸せそうじゃない。そう感じている人は、少なくないんじゃないかと思います。 それは一体、どういうわけなんでしょう? そしてどうすれば、わたしたちはそんな

「すべての写真が奇跡の1枚!」Twitterフォロワー65万人の人気プラネタリウム映像クリエイター・KAGAYAさん写真作品のプリモアート6種販売開始!

このたび人気プラネタリウム映像クリエイターであり、「すべての写真が奇跡の1枚!」と人気の星景写真家でもあるKAGAYAさんの作品より、6種類のアートプリントを、河出オンラインショップにて販売します。プリモアートとは、オリジナル写真に限りなく近い色調を忠実に再現することが出来、繊細な階調表現が可能な高

イベント

イベント一覧

お知らせ

お知らせ一覧

河出書房新社の最新刊

[ 単行本 ]

[ 文庫 ]