注目の気鋭作家が描いた怒りの幽霊ヒーロー小説 『死んでいる私と、私みたいな人たちの声』大前粟生
夏木志朋
私は、誰かを救うために主人公が奔走する物語が大好きだ。 もっとも多く見られるのは、主人公が他者を救い、それにより自己の回復をも遂げるストーリーだろうか。この場合の「他者」を「自分」に置き換えることも可能で、自分自身を救うために駆け抜ける主人公の姿に、読み手である「誰か」が救われるといった、代行の構
2022.08.12単行本
夏木志朋
私は、誰かを救うために主人公が奔走する物語が大好きだ。 もっとも多く見られるのは、主人公が他者を救い、それにより自己の回復をも遂げるストーリーだろうか。この場合の「他者」を「自分」に置き換えることも可能で、自分自身を救うために駆け抜ける主人公の姿に、読み手である「誰か」が救われるといった、代行の構
2022.08.12藤井聡子
先日、近所のスーパーで、中学の後輩と出くわした。彼女は私を見るなり「先輩、相変わらずですねフフッ」と笑った。マスクをしているからと顔を洗いもせず、一昨日から着たままのスウェット姿で、一本のネギを握り締めていた私は、スーパーこそ社交場なのだと痛感した。地方都市におけるスーパーやホームセンター、商業施
2022.08.09木原善彦
『オレンジだけが果物じゃない』で彗星のごとくデビューし、話題作を発表し続けているイギリス文学の代表的作家のひとり、ジャネット・ウィンターソン。本書は、フランケンシュタインの怪物や、人体冷凍保存施設、セックス・ボット、トランス・ヒューマニズム、人工知能、人工生命をめぐる「ある愛の話」を描いた、人類への
2022.08.05西條玲奈
本書のテーマを哲学の問題意識のもとで表現するなら、個人の人格パーソンは情報からできているか、というものになる。もしこの問いにイエスと答えるならば、死後でも情報を再現することでその人を甦らせることができるし、適切に情報を構築すれば私たちは新しい人格を作り出すことも原理的には可能だ。人の同一性の問題が
2022.08.05はなお
答えがない、先が見えない時代、規格外の人生設計はどれだけリスキーなのか?世代交代の激しいYouTubeの世界で生き残る秘訣とは?大阪大学基礎工学部出身、頭脳派理系YouTuberとして数学を用いた実験・検証など、知性を武器にした軽快なトーク動画で話題を呼んだクリエイター・はなお。30歳を迎えるにあた
2022.08.03佐原ひかり
2021年『ブラザーズ・ブラジャー』で鮮烈にデビュー、大注目の新鋭・佐原ひかりさん。このたび待望の新作長篇『ペーパー・リリイ』が発売となりました。本書刊行を記念して冒頭部分を公開します。著者:佐原ひかりさん (撮影=小原太平) 野中杏、17歳、結婚詐欺師の叔父に育てられている高校2年生。
2022.07.28高野麻結子(編集者)
●今年で15年目のYAシリーズ 「14歳の世渡り術」は、「知ることは、生き延びること」というキャッチコピーのもと、2007年に創刊されたシリーズです。読んだかたが自分の物差しで世の中をとらえ、生きる術を身につける一助になることを目指した結果、扱う範囲は受験や進路、恋愛、人間関係の悩みから貧
2022.07.26DUSTCELL(ダストセル)の大人気楽曲を小説化した単行本を、2022年7月から2ヶ月連続で刊行!■7月刊『クロスの行方 ―DUSTCELL小説集―』(中村紬 著) YouTube上で再生回数1300万回を超える大ヒット楽曲「命の行方」や、鮮烈のデビュー作「CULT」、そして今夏発表予定
2022.07.14長井短
妻の球子(たまこ)は俺を庇って骨折ばかりする。俺も球子を守りたくて夫婦で〝守りバトル〟に没頭するある日、勤め先に俺が会社の金を横領していると電話が入り―。俊才の小説第二作、初中篇。===↓試し読みはこの↓へ===ほどける骨折り球子長井短 球子の骨折が治ったのは結婚記念日の前日で、これで明
2022.07.12遠野遥
親の無関心を気にもとめず、歳の離れた会社経営の男と暮らす高校生のふうかは、日々、ホラーゲームで悪霊たちから逃げ続け――。現実がどこまでも希薄化する新たなゲーム文学。 ===単行本『浮遊』試し読みページへ===
2022.07.12